マリーゴールド

曇り空の下、涼みに「ブ」へ。前は、よく、夏に「涼み」場所として通っていた。けっきょく本は買わず、しかし、店内で流れている女性の曲にしびれる。「マリーゴールドの」なんとか、という部分だけで検索して「あいみょん」の「マリーゴールド」という曲だと知る。いや、これはいい歌だわ。「ブ」で聞いて(たいてい有線放送)、検索したのはaiko「カブト虫」、「ハレラマ」に続く。

これぞ夏です。

いやあ、これぞ夏です。暑いです。本日、「青春18」2回目を使って、八高線完乗してくる。いつぶり、であろうか。前に出かけた時は、吉田健一「或る田舎町の魅力」にしびれて、八高線沿線「児玉」下車、町をうろつき、バスで熊谷へ出た。もう20年は前になるのか。これはどこかに書いた。

朝早く(八高線は本数が少なく、高麗川以北はもっと本数が減る)、我が最寄り駅より八王子へ出て、高麗川へ。ここで乗り換えるのは、ここから非電化になるからだ。高麗川から高崎。最寄り駅からだと約3時間の電車旅だ。高崎では「みやま書店」で古本を買い、「栄寿亭」でカツ丼食べて、1時間ほどの滞在で湘南ライナーで帰還。あちこちほっつき歩ける気候ではない。西部「好書会」2日目終り近くに飛び込み、清岡卓行『詩禮傳家』(函入り、少し縦長のいい造本だなあ)ほかを買う。最終日の落穂ひろいぐらいの買い方がちょうどいい。これは「古通」にくわしく。毎回、苦労しております。

1人、詩集関連をカゴ一杯買っている客がいた。業者でしょうね。いい本買っていた。

青春18」残り3回をどう使うか、あれこれ机上で考えるのが楽しい。ガツガツ乗る気はない。中央本線は一度は乗る。降りたことのない駅で降りたい。韮崎とか竜王日野春とかどうか。

大岡昇平『武蔵野夫人』を歩く。

https://kohza.shinchosha.co.jp/shincho/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=224103

コロナ禍で中止延期されていた「新潮講座」が再開。9月26日、オカタケ散歩「新潮文庫を歩く」で、大岡昇平『武蔵野夫人』を取り上げ、武蔵小金井から国分寺を歩きます。いろいろ下準備で資料を漁っていたら、江戸東京たてもの園「武蔵野文学散歩展」図録が見つかる。ここにドンピシャの資料がありました。一度、事前に下見で歩いてこようと思っています。疲れたら、途中からバスを拾って国分寺駅へ。オプションとして「七七舎」を覗いて打ち上げ、というだんどり。これもコロナ禍第二波の自粛要請等で、ふたたび延期もありえます。

昨夜、酒を飲みがながら、もう10回目ぐらいになるか、録画した「ポセイドン・アドベンチャー」を観て、またおいおい泣き早く寝たら、早く目覚めた。これは公開当時のことをよく覚えていて、「とにかくすごい」「めちゃくちゃ面白い」と話題になっていた。その興奮の伝播が記憶にある。「ダイ・ハード」の時もそうだった。「ポセイドン」の時はまだCGがない頃でしょう? 本当に人は落下し、大量の水に流されたのだ。

デイヴィッド・ハンドラーはいいぞ。

ジョン・アップダイクケンタウルス』(白水社)を読みながら、アップダイクを少しずつ買いなおしている。角川と新潮文庫で、けっこう持っていたが読まないままに処分してしまった。アメリカ文学の中のアップダイクの位置の大きさは計り知れず、あえていえば日本の大江健三郎みたいなものか(ぜんぜん違うよ、といううるさ型の声は無視する)。国分寺「春風」で『結婚しようよ』、オープンした「古書ワルツ荻窪」で『もう一つのドア』角川文庫を買う。どっちも持ってたがなあ。角川文庫は20ページ以上の解説に年譜がついて便利。

あいかわず本はよく読んでいて、デイヴィッド・ハンドラー『猫と針金』、マイクル・z・リューイン『季節の終り』をそれぞれ、読み始めたその日のうちに読了。どちらもシリーズもので、読むのは久しぶり。杉田比呂美イラストカバーの後者、サムスン探偵シリーズは読者も多く、今でも新刊で入手可能(と思って調べたら、数点を残し品切れが多い)。しかし前者、ゴーストライターのホーギーを主人公とするシリーズを読んでいるという人に出会わない。8冊、講談社文庫から出ていた同シリーズもすべて品切れ。いやあ、面白いんだけどなあ。これも(ぜんぜん違うよ)という声を無視して言えば、村上春樹がミステリーを書けば、あるいはこうなるのかという作風。飼い犬が相棒、洒落た会話とファッション、ユーモアがちりばめられている。主人公は知的かつ人にやさしい。しかし取り扱うテーマは人心に潜む救いがたい闇と影である。だまされたと思って、古本屋で見つけたら(まず100円)お買いなさい。

セミもジャカジャカないている

7月最終日、ようやく雨のない一日。日差しが強い。セミも待ってましたとジャカジャカないている。自転車で外出したら、腕が真っ赤になる。

春陽堂書店の「オカタケな日々」担当編集者から、『明日咲く言葉の種をまこう』が、30日に、急に注文が入りだした、何があったかご存じですかとメールがあったが、ご存じない。増刷が決まったところなので、この動きはうれしい。まだ、ちょっと在庫が残っていたので、これで増刷の大義ができた。

ロス・マク『運命』を読了。未読はあと何冊か。今日、「みどり文庫」に寄ったら、店主から、僕の後に来た常連の紳士を紹介される。「おかざきさんの本も読まれている方ですよ」と言われ、「それはどうも」と頭を下げる。慶應大学卒の元銀行マンで、大の本好き、文学好きという。水上滝太郎みたいだ。

単行本のイラストの仕事の注文が入る。あんまり自信はないが、一生けんめいやらせていただきます。

オカタケな日々32が更新

https://www.shunyodo.co.jp/blog/2020/07/okatake_32/

春陽堂ウェブ連載「オカタケな日々」32回目が更新されました。いま読んだら、岡谷から豊橋行きに乗ればいい、という記述、これは飯田線だから中央本線ではない。間違っています。削除するよう、編集部に要請しました。

前回、ここでつまらぬ愚痴を吐いたら、心配して、遠くに住む知人がうれしいメールをくれた。人の益にならぬ個人的毒は吐かない方がいい。しかし、こうしてメールをくれる人もいる。まあ、正直に生きることだ。

昼、発作的にお好み焼きが食べたくなり、一人分だけ作る。市販のお好み焼き粉50グラムをゆるめに水で溶き、キャベツ、ネギをどっさり、天かす、乾燥えび、紅ショウガを入れ、卵を落としかき回す。あんまりかき回し過ぎないのがコツ。ざっくり混ざればいい。中華鍋に油を落とし、弱火と中火の間ぐらいにし、種を落とし、豚バラ肉を並べる。あとは蓋をして6分、返して4分ぐらい焼く。いや、けっこううまいです。

東京で関西風お好み焼き、で検索すると、多く引っかかるのが広島風で、これだけ広島風お好み焼きがシェアを席巻しているのかと驚く。あるいは「もんじゃ」がでしゃばる。ちょっと違うんだよなあ、広島風は(これはこれで別のうまさ)。西荻では「粉屋時次郎」が好み。「もんじゃ」は、まあ、ぼくには関係ないや。

草いきれのする野の道を

地下の室温25℃。湿度86%。熱くない湿気のサウナに入っているようだ。メガネを目からはずし、頭にかけていたら、しっとり濡れている。頭から水蒸気が立ち上っているのなり。「つちうら」でロス・マクポケミス2冊買ったうちの『さむけ』を読了。暗さばつぐん、緊迫したストーリー。なぜ、そこに気づかなかった、オレはあほかという結末。そりゃあそうだよというトリック。ポケミスは文字の小ささを除けば読みやすい設計。折りごとに糸綴じになっているため(今はどうか)、残るページを裏へ折りたたんで読める。言ってること分かるかなあ、分かんねえだろうなあ(松鶴家千とせ)。

なあんにもやる気がしない。もうダメかもしれないとも思う。じつは、4月以降、ずっとそうだ。ゆっくり下降していってる感じ。本も読むが、音楽もかけず、ただぼーっとしている時間が増えている。何か考えたり、胸を去来することもあるのだろうが、書き留めもせず、ただ過ぎていく。反省もしたくない。したってどうなる。

「もういいから、ほおっといてくれよ」と独り言を言ったりもする。「何に対して、誰に」というのではなく、気分を言葉に表せばそうなるということ。谷川俊太郎さんなら、それで立派に一編の詩に仕上げるだろう。ただじとじとと雨が続き、蝉も鳴きどころを失ったか。草いきれのする野の道を歩きたい。