きみちゃん

急に思い出して、ああ、あのドラマをもう一度見たい、というのがいくつかある。その一つが東芝日曜劇場の、タイトルも忘れていたが、記憶する出演者を山村聰大竹しのぶ西田敏行と打ち込み検索して「テレビドラマデータベース」という便利きわまるサイトから、それが「きみちゃん」(1978年3月15日放送)だと分かった。脚本・砂田量爾、演出・川俣弘明。簡単なあらすじも書いてあって、ああそうだったかと思った次第である。記憶と合わせて、簡単なあらすじを。

小説家(山村聰)の家で働く若いお手伝いが「きみちゃん」(大竹しのぶ)。小説家は、きみちゃんを我が娘のようにかわいがり、家から嫁に出すつもりでいる。この家に、細々な用事を頼まれてこなす男がいて、これが西田敏行。「言葉が不自由な男」とあるが、要するに喋れない、口をきけない設定だったと思う。西田は「きみちゃん」への思慕がある。それに応えて、大竹は西田と結婚する(役の上、ですよ)決意をし、小説家に告げる。最初、小説家はそれを反対する。西田がいい男であることは分かるが、結婚となると苦労するに決まっているからだ。しかし、大竹には強い意志と、深い思いやりがあり、決意を曲げず、二人は結ばれることになる。小説家もそれを許す。

ほとんど記憶には残っていないが、たとえば西田と大竹の、屋根の上での淡いラブシーン(気持ちを確かめ合う)があったはず。そしてラスト。大竹を嫁に行くことを許した山村が、書斎の机の前の椅子に座って、遠くを見るように、懐かしい太鼓の音を「ドーン、ドーン」と、口に出して言う。このシーンが、万感がこもり、感動的であった。ひょっとして間違っているかもしれない。なにしろ40年以上前に一度見たきりで、再放送があったようだが、それは見ていない。記憶違いも含めて、これはどうしても、もう一度見てみたいドラマなのである。山村聰大竹しのぶ西田敏行と並ぶだけで、これはもう壮観である。ほかに小鹿みきが出ていたようだ。