北風吹きぬく寒い朝も 

心ひとつで暖かくなる

と、吉永小百合は歌った(「寒い朝」佐伯孝夫作詞)。そうかあ、と思う。

『読書で見つけた名言名セリフ』、あれ、そんなタイトルじゃなかったか、まあそんな光文社知恵の森文庫になった本に、以後継続している連載分を加え、新たに編集しなおした本が、二月末に春陽堂書店から出る。装幀はクラフトエヴィング商會さん。タイトルは『明日咲く言葉の種をまこう 心を耕す名言100』と、PHPから出るみたいなことになっているが、よろしくどうぞ。『読書』でははぶいた、映画やドラマからも引用した原稿も収録している。そのゲラと格闘中。意外に気になるのは句読点で、これは決まりはないと思うが、息継ぎで打っているところなどはトルツメにする。いつか、校正者に徹底的に句読点をいじられたことがあり、これには困った。元に戻すのに骨が折れて、肝心の文章に気が回らなかった。

たとえば吉田健一はほとんど句読点を打たない。安藤鶴夫はやたらに句読点を打つ。私はひらがなが続くところで、読みやすいように一度切ることもあり、強調の意味で句点をかっこするみたいに両側に打つこともある。ほとんど法則はない。一気に読み下してもらいたい時は打たない。自分なりの流儀はあるが、正しいか間違っているかと問われれば自信はない。漢字にする、ひらがなに開く、それを一冊の中で統一するというのもあまり神経質にやられると困る。ほかで漢字で書いている言葉を、別のところではひらがなにするというのは、私の場合はよくあって、その時の気分でそうしていることもあるが、その「気分」って、大事ではないだろうか。一度、校正のプロ中のプロ、水玉さんに話を聞いてみよう。