気持ちが煮詰まっているなあと思う。新媒体で張り切っているのはわかるが、もう終わったと思っている仕事に、追加でいろいろ注文をつけてくるのがあって、No!をつきつける。ぼくとしては珍しいことだ。気難しくならないよう、機嫌よくやろうと思っているが、こき使われている印象があり、我慢ならなくなる。しかし、失うと困る仕事なのだ。どうする。池島信平は、同様の断りたい仕事があった丸谷才一に「うんと言ってんですな」とアドバイスした(春陽堂書店から出る『明日咲く言葉の種をまこう』に収録)。自分でそれを取り上げておきながら、逡巡している。その苦しみは相手にはとうてい伝わらないのだ。「あの人、気難しいよ」と噂が流れると、仕事がしづらくなる。

メールを受け、返信し、原稿を書いてゲラを受け取り手を入れて返信、新規依頼にはそのつど受諾の意思を示し、あらゆることに一人で対応する。個人事業者はみなそうだろうが、相手は会社、こちらは個人という場合、無意味と思える大量のファクス(すぐインクリボンが切れる)など、こちらが個人ということを、もうちょっと配慮してくれないかなあと思うことがよくある。何もかも一人でやっていて、すべてに経費がかかり個人が払うのだ。

むろん、一人でやっている自由さ、気楽さというのはあって……いや、やめときます。ばかばかしくなってきた。

ちゃんとこちらの対応に配慮してくれている、古本一括査定.comのウェブ連載「古本屋見聞録4」を書いて送る。「3」までは公開中。https://books-match.com/news/188/

引き受ける時、もう古本や古本屋について、あらためて書くことあるかなあ、と思ったが、始めてみるといろいろ出てくる。今回は「ますく堂」を取り上げるため、「自宅で古本屋」というテーマを選ぶ。400字で6枚強書ける。次回は、青木正美さんの新著『古書と生きた 人生曼陀羅図』(日本古書通信社)を紹介しながら、古本屋全盛期、東京下町の古本屋、古本屋店主の来歴などについて書く予定。

やっぱり3月に入ったら、青春18を使ってどこかへ行って来よう。