最上の解決を準備する

災禍を洗い流すがごとき(本当にそうならいいが)春の冷たい豪雨である。家に閉じ込められ、むしろその方がいい。「本の雑誌」連載、洲之内徹5を何とか送付。これでようやく6から戦後を書ける。ということは10回にはなりそう。飽きられなければいいが。最新号の読者による声の欄「三角窓口」で、拙稿に触れて下さった方あり。八王子の上田良夫さん、感謝申し上げます。

6月の「新潮講座」が延期と決まる。大岡昇平『武蔵野夫人』を歩く編(武蔵小金井、はけの道)だったが、そのまま9月にシフト。しかし、9月になって、コロナ禍が収まっているという保証はない。いやな渡世だなあ。サン毎用に宇都宮直子『三國連太郎、彷徨う魂へ』を読む。そういえば、三國さんには取材で会っている。

心鎮めるために、森有正の日記を少し読む。1964年9月11日パリ。

「徹底的に寛ぐ必要がある。それだけが最上の解決を準備することが出来る。慌てて何かしても決して良い実りを齎さない(「齎さない」は「もたらさない」と読む)。緊張を解くこと。断固とした緩慢な歩み、必然的な進歩、沈黙、深い思慮」

いや、2020年春の東京にいる私たちには、森さん、それはなかなか難しいですよ。でも、心がけます。