「ユリイカ 総特集坪内祐三」が届いた。

ポストに厚い本の封筒が届いていて、みると「ユリイカ 総特集坪内祐三」だった。450ページ越えの大著である。私も一文を寄せたが、それは私なりの気持ちを整理して書いた文章だが、この多数の多彩な人々の強い思いと記憶、高い熱量の前に消し飛びそうだ。林哲夫さんの文章が、個人的な記憶を交えながら、種々の著作をていねいにガイドして本人の文業を浮かび上がらせる、すばらしいものだった。こういうち密さは、私にない。この一冊を、とても、すべてを読んで、感想を書くことなどできない。しばらく寝かせておこう。書いた人がみんなそう思うだろうけど、この「特集」をいちばん読ませたいのが、本人の坪内祐三である。

三種のゲラの返しがあり、引用部に原文と照らし合わせた上での間違いの指摘がいくつかあり、情けなくなる。おお、わが粗雑な目と頭よ。ケアレスミスが多すぎる。目で追って、それをキーボードで正確に写すような簡単なことがなぜできないのか。これは方法を考えねばならぬ。引用部をコピーに取って、画面脇に貼り付けて打つ、とか。

ここが踏ん張りどころだぞ、といつも思う。しかし、どこかで空気が抜けているのだ。

夢に亡くなった父が出てきて、何か話したそうだった。しかし、声が聞こえない。口元が揺れて、淋しそうにうつむいた。ランニングシャツを着ていた。いつのまにか霧が出てきた。私は現在の年齢で、考えたら、42で死んだ父は、私にもしいるとしたら、息子といっていいぐらいの年齢なのであった。何が話したいのか、聞きたかった。「ぼく、けっこう頑張ってんねんで」と言いたかった。父がどんな声で、どんな喋り方をしていたかも、もう記憶が薄らいでいる。

このたびのコロナ禍自粛要請に対して、東京古書組合広報が出した挨拶と現状、そして宣言は力強く、明日に期待をもたせる、とてもいい文章だった。

https://www.kosho.ne.jp/?p=374