「オカタケな日々」26更新

春陽堂書店ウェブ連載「オカタケな日々」26が更新、アップされました。

https://www.shunyodo.co.jp/blog/2020/05/okatake_26/

ロス・マクドナルド『ウィチャーリー家の女』(ハヤカワミステリ文庫)が、蔵書の地層のなかから発掘される。もちろん読む。娘の失踪、例によって複雑な人間関係、謎が霧にまぎれて、リュウ・アーチャーが粘り強く人と会い、聞く、聞く、聞く。訳は名手・小笠原豊樹。さすがに、我が家からは、もう見つからないだろう。

一本、書評依頼があったものの、対象となる本の分野が月と地球ほど離れている。おまけにぼくの名前を間違っている。誰か別の人の方がいいのでは、と返信。

ぼくの名前はじつによく間違って書かれる。そんなに「岡崎武志」とするのは難しいだろうか。多い順で言うと「岡崎武士」(マンガ家にこの名あり)、「岡崎武史」。丸谷才一さんに取材した時、持参した本の2冊にサインをもらったが、1冊は「岡崎武志」、もう一冊は「岡崎武士」になっていた。一字違うだけで何か、別人みたいな気がするのだ。あんまり厳しくとがめられないのは、ぼくだって人の名の間違いをよくやるからだ。坪内祐三さんのことを、初期、「ARE」か「SUMUS」で「坪内裕三」と書いてしまったことがあり、本人に言うと、当たり前だが気づいていた。

三島由紀夫を三島由起夫とやってしまったこともある。さいきん、ある本で「小川国夫」が「小川国男」と誤植されているのを見つけた。

読み終わったばかりの『秋』という小説のヒロインは「エリサベス」。気をつけないと「エリザベス」とやってしまいそうだ。