マット・スカダー『暗闇にひと突き』にディラン・トマスが

昭和初期の20歳の文学青年の日記に感化され、彼が生まれ育った呉市倉橋のことが気になる。各種観光ガイド本では無視される地域。図書館で『広島県の歴史散歩』を借りてくる。ここには倉橋の記述がある。万葉集の遺跡がある由緒ある歴史を持つ町だと分る。行くとしたら呉駅からバスで1時間ぐらい。どこかの雑誌で「行ってきてください」と仕事にしてもらえないだろうか。

今日はサンデーの本選びと原稿締め切りが重なり、目覚ましをかけて朝早起きして原稿を上げ、午後竹橋へ。いちおう3週分選ぶ。何があるかわからないので。神保町か中央線沿線で帰り、散歩しようと思ったが小雨が落ちてきた。あわてて帰還。それでも自転車で帰宅中、ずぶぬれになった。しかし、まだそれほど寒くなく、気持ちいいぐらいだ。

ローレンス・ブロック、「マット・スカダー・シリーズ」『暗闇にひと突き』を面白く読む。やっぱいいいなあ。スカダーはまだこの時アル中で、コーヒーにもウイスキー(バーボン)を垂らして飲む。ジャニスという、元保育所経営で現在はソーホーで彫刻を作る脇役の女性が魅力的。スカダーと心を通わせ、ベッドもともにする。彼女もアル中で、禁酒を誓い合う会合に出ている。スカダーはそれを聞いて入会を拒否するが、のち『八百万の死にざま』では禁酒して会合に参加することになる。ポケミスのスカダーものはこの2冊で、あとは二見文庫に多く収録(ぼくミステリは初心者なので、間違っていたらごめんなさい)。ところが、この二見文庫が、古本屋ではなかなか見ない。吉田健一の中公文庫に入っている小説もなかなか見ませんね。『暗闇にひと突き』には、ディラン・トマスの詩が引用される。ディック・フランシス『横断』でも出てきますね。

ぼくも毎晩、欠かさず飲んでいるからアル中だ。やるせないことが多く、長すぎる夜に仕方がないのだ。飲まない人は、どう人生をやりくりしているのか。