植田実『真夜中の家』と鯨井勇「プーライエ」と東孝光「塔の家」

ベッド脇に小さな本棚を置くため、周りの堆積物を片付ける。下になった本や雑誌はゆがんでいる。ゆがんだ本は元通りにならない。植田実『真夜中の家』が掘り出されて、これは頑丈なので、多少のゆがみや傷はあるが読める。そして読む。これは児童文学や建築について書かれた名著なのである。みすず書房から再刊されている。元本は住まいの図書館出版局で、このシリーズ、ハンディで非常に好ましい。何度か読んでいるつもりだったが、今回「あとがき」に「最後の仕上げにかかってくれたのが豊崎由美さん」とあって、あの豊崎由美さんだろうか。

パラパラ読んでいて「分譲地のなかの田園 鯨井勇」で、あっと思う。1970年代、セルフビルドで建てられた鯨井の個人住宅について、訪問記が書かれているのだが、場所は特定されていないがどうも「西武園」駅近くで、背部に墓地とあるので、あのあたりかと想像がつく。住所では東村山市。これは現在増築補修を重ね現存。「プーライエ」と名付けられ、建築関係者が見学に招かれている。ネットに外観がアップされているので、発見の自信はある。ただしこのあたり丘陵地なので、うまくルート選択しないと、長い坂の上り下りに汗することになる。昨日はそれで苦労した。

じつは昨日、この近くを自転車で走っていたのだ。日にちが逆だったら、たぶん捜索していただろう。また機会を見て、出かけよう。同じ文章に出てくる東孝光「塔の家」も有名。打ち放しコンクリートと極小住宅という東の思想の初期体現建築物件で、これも現存している。