麻布十番「崇文堂」は、あの崇文堂

https://www.shunyodo.co.jp/blog/2020/11/okatake_40/

「オカタケな日々40」がアップされました。ウェブ連載とはいえ、40回となると感慨があります。ディック・フランシス『横断』、そして「むさしの号」について書いております。どうぞ、お気軽にアクセスください(無料です)。

昨日は「新潮文庫を歩く 梶井基次郎編」の下見で、担当のMさんと六本木一丁目から飯倉、飯倉片町から山を越え、麻布十番のゴールへ。山の上り下りでけっこう疲れた。ライトアップされた夕景の東京タワーに見ほれる。神社などへ参拝するより、これを拝むほうが、よほどご利益がありそうだ。六本木周辺の大規模再開発で、麻布台一丁目がそっくり消え、すさまじい規模の工事中。あぜんとする。三年坂が消えてしまった。どこにこんな金があるのだろう。荷風が妾宅をもった(偏奇館とは別)のが八幡神社の近く。その八幡神社へも長い石段を上ってみるが、社殿が消え、改装中。

ロシア大使館、消えた麻布のモダン建築郵便局、キャンティ、和朗フラット、植木坂(梶井と藤村)、高峰秀子邸(今は別の持ち主か)などを眺め、ゴールの麻布十番へ。たいそうにぎわっていた。

麻布十番のおでん屋(一階でタネを売り、二階で食べられる)「福島屋」で打ち上げ、「美の壺」再放送で「おでん」を見たところなので、数倍のうまさ。ここはいい店。近くの、界隈でたった一軒がんばっている書店「崇文堂」へ寄る。けっこう入れ替わりでお客さんが入っている。文庫棚にはたくさん推しのポップが。奥の本棚の上段に古本を発見。値段はなし。Mさんが若い店長に話しかけると、もと神保町で出版をやっていた「崇文堂」で、と言う。おどろき。並んでいる本の中に『岩波茂雄伝』や、太田三郎のスケッチ技法などぼくも所持している本あり。そうか、あの崇文堂か、と。

おそらくだが、当代の若い店長が、あちこちの古本屋で崇文堂の本を買い集めて、並べているのかと。いい心がけだ。すっかり麻布十番「崇文堂」のファンになる。