秋の風はあたたかでした。

本日、「新潮講座」梶井基次郎編をぶじ終了。参加は7名か。コロナ感染の拡大でキャンセルあり。初参加の方も4名ほどおられて、ありがたいことだ。常連となったKさんは、九州へ単身赴任となり、ちょうど一カ月に一度、東京へ戻ってくるその日に、参加くださった。その気持ちがうれしい。

ここのところ、連日、梶井と麻布、六本木研究を積み重ね、万全を期す。費やした時間は、さあ、どうだろう、けっこうすごいことになっている。しかし、好きな勉強は楽しいのだ。

飯倉「キャンティ」に予約なしだったが、うまく席を取ってもらい入れることに。なにしろ、中学生だったユーミンが出入りし、デビューのきっかけとなった「キャンティ」。参加した方々のいい思い出になってくれればと願う。ぼくはかつて「キャンティ」も、川添象郎氏も取材したことがある。ライター生活も長くなったものだ。

麻布十番暗闇坂がゴール。つい「ところは東京麻布十番おりしも昼下がり 暗闇坂蝉しぐれ」と歌ってしまう。変なガイドだ。

行きかえりの車中、予習もかねて梶井を読み返す。ちょうど同じ日、高知では、山本善行上林暁について、同地2度目の講演をしているはず。高校で同じクラスだった2人が、それぞれいい年齢になって、東西でこういう仕事をしているのは、まったく不思議なことだ。善行堂の活躍は励みになる。

ユーチューブで、石井聰互・澤田幸弘「高校大パニック」をみて興奮する。緊張がとぎれず、受験戦争のひずみを理屈でなく描く。これは傑作ではないか。浅野温子がまだ10代で女子高生役。すでに個性派としての天稟が見える。この1本で消えても、長く印象に残ったはず。高校生役がみな無名というのもいい。保積ペペがいると、つい「おめえヘソねえじゃねえか」と突っ込みたくなる。