一日

月曜休日、ネット詐欺により5万円をパクられる。あともう1回、5万円を、というところでさすがにおかしいと気づく。なくなったお金より、あれほど日ごろ、これだけ報道されていながら「オレオレ詐欺」に引っかかる老人たちをいぶかり、嗤っていたのに、手口はまったく違うとはいえ、やすやすと乗った自分の愚かしさに気持ちが真っ暗になる。警察官が4人も自宅へ来て、事情を何度か説明するが、そのたび恥ずかしく落ち込む。個人情報も洩れ、書いた原稿等のファイルも失ってしまった。

なんとかメールの連絡先一覧が残っていてほっとする。これを失えば、大変な手間だった。それぞれ連載原稿のファイルなど、一からやり直す。5万円は高い授業料だったが、ここから自分を取り戻していきたい。

翌日、いろんな用事を、夜の「隣町珈琲」での魚雷くんとの対談(雑誌に掲載されるとともにネット配信もされる由)のため動く。

サンデーでまず本えらび。東西線茅場町経由で小伝馬町。古いビルの一室がギャラリーに、そこでオーライタローくんとえみこさんの個展が開かれていて、通知をもらい、訪ねる。タローくんは不在で、えみこさんとあれこれ喋る。お二人が「四月と十月」の同人になったことを聞いていたのでそんな話も。

日比谷線浅草線と乗り継ぎ中延へ。ここの古いアーケード商店街に「隣町珈琲」がある。地下の広いスペース。新刊も売られていて、本棚を背に魚雷くんと本と街の話をする。我々の前の時間に関口直人さん夏葉社島田くん、「隣町珈琲」主宰の平川克美さんによる、同様の鼎談があった。関口さんが我々の回に、再び訪ねてくださって、対談終わったあと、魚雷、ぼく、関口で中華で打ち上げ。楽しい話じゃないので、この日会っただれにも詐欺被害の話はせず。これからもしないつもり。これが厄落としになればいいが。気持ちの電池残量はほぼゼロに近い。充電すべし。