谷崎潤一郎『蓼食う虫』にうなる

月半ばに集中する原稿締め切りの波をなんとか乗り切る。昨日18日は「赤旗 文学館へ行こう」の小田原文学館編、「すこーれ」の「この本が読みたい」の2本。

冬はこんなに晴れた日が続くのだっけ、晴れた日が続く。どこかへ行きたくなるが、時節柄自重。あれこれ途切れなく読んだり、考えたり。谷崎潤一郎『蓼食う虫』読了。今回が初めて。うーんとうなる出来栄え。セックスレス夫婦の空虚を芯にして、京都鹿ケ谷に若い愛人と茶人的生活をする老人、冷たい両親の行く末を敏感に察する小学生の息子、上海帰りの従弟、神戸の娼館のマダムと混血娼婦など、人物のそれぞれの描き方が立っている。これはどこかへ詳しく書こう。

「サンデー」用に読んでいる伊集院静、初の時代小説『いとまの雪』上下巻の「下」がもう半分あたりまで。伊集院静、この先もこのジャンルを制覇していく気配あり。

月末にまた、盛林堂さんに蔵書整理をしてもらうので、せっせと階段に積みあげる。けっきょく、えいやっと長年コレクションしてきたいくつかの分野を、総処分するしかないか。選んでいたのでははかどらぬ。お金を作る必要があり、講談社文芸文庫を一部残してほとんど手放す覚悟をする。必要になったら、図書館で借りるなり、またちびちびと買い集めればいい。本棚間の通路がだんだん見えてきたのが気分よし。こんなに本棚に手を入れたのは初めてかもしれない。いいこと。必要になるのは、結局、新しめの本ということになる。結核、商業、サラリーマンものもひと棚処分しよう。だって、この10年以上、まったく触っていない分野で、これから先も手をつける可能性は低い。

新しいリゾート開発をしないと、物書きとしての未来はない。