池部良が読んでいる本は?

18日、中央線さんぽ。「七七舎」岡崎棚へ補充、世田谷文学館の「西脇順三郎」展カタログを800円で。ひさしぶりに三鷹へ移動。「水中書店」で世田谷美術館小野二郎展(正式名称はちがう)カタログを1400円で。近くのくたびれた古い喫茶店でコーヒー、たばこを3本吸う。貴重な喫煙喫茶。常連と店主の境がなく、えんえんとよもやま話が続く(大声で)。電動機付き自転車と大坂なおみの話題。新聞記事ならわずか3行ぐらいの情報を、あれこれ繰り返し語って止まない。おもしろいなあ。

西脇順三郎の詩には、草花が多数出てくるが、展カタログを見ると、スケッチブックを流用した押し花帳を作っていた。スケッチしたスケッチブックもあり。まねしたくなる。

基本的には巣ごもり生活なので、一日2,3本ずつ映画を観ている。「127時間」はずいぶん話題になったものだが未見。「ギンレイ」のパスポート会員を辞めてから、最近の話題作にうとくなった。これは実話。登山家が峡谷の隙間に落ち、岩に右手を挟まれて身動きとれなくなっての5日間を描く。結末を知らずに見たのだが、最後、恐ろしくて早送りにする。ほとんど一人、挟まれた腕を起点に、ほとんど動けないという非映画的テーマをみごとに娯楽映画に仕立てた。

「朝の波紋」は五所平之助監督、高見順原作、高峰秀子池部良の主演。冒頭、銀座の街の移動撮影がある。美しい街だった。池部が本を忘れ、それを高峰が見つけるシーン。恋の予感である。岩波文庫と分るが、これがどういう本か。ユーチューブの画像が荒くて、漢字数文字と「における」というひらがな、続いて三文字の漢字のうち「定」だけが判読できる。いろいろ検索し、池部良の本がマルサス(『人口論』の)『経済学における諸定義』とわかる。1950年の刊。映画公開は1952年。現行より、少し背の高い判で栞ひもがついていた。小津『晩春』で原節子が電車で読んでいるのも岩波文庫だが、これが何かはついに分からない。