新しく美しい読書のかたちを示した山本善行撰『どんぐり』

午後から丸半日かけて、某誌の佐藤泰志ページ4ページを仕上げる。キャプションの量が本文より多く、細切れの文章をたくさん作る必要があり、非常に疲れる。こういう雑誌ライター仕事はひさしぶり。20年前は毎日、これを繰り返していた。さすがに年を取ったなあ、と思う。くたくたである。400字何枚換算、というざっくりした仕事に慣れ過ぎた。しかし、もらった仕事はいろいろこなしていかないとジリ貧は目に見えているのだ。がんばれ、強いぞ、ぼくらの仲間!

善行堂から、話題の山本善行撰『どんぐり 寺田寅彦中谷宇吉郎』(灯光社)が送られてきた。包みを開けたらオレンジ色が目に飛び込んできた。慎ましく艶やかな出来栄え。「どんぐり(団栗)」はぼくも好きな作品だ。ほか2編。軽く簡素な本だがぜいたくでもある。極上の本読みと本作りのコラボと言えよう。新しく美しい読書のかたちを示した点も有意義である。背の銀色も光っている。