3月が飛ぶように過ぎていく

大阪へ行く用事(仕事)があって、それはすぐすむことなので、どこか行くところはと思案し、織田作之助上町台地を歩こうと画策。じつは、未踏のエリアなり。「蛍」「アドバルーン」など再読。この抒情性を排した、乾いた人生を一筆書きするスタイルはほかに見られないもの。地名をチェック。大阪の副読本として、富岡多恵子佐々木幹郎『「かたり」の地形』(作品社)を通読。くわしい注は、大阪事典とも思えるできばえ。

断、間食と甘いものは続いている。果物はときに食べたくなりますね。今日は風が冷たい。表へ出ず、ずっとテレビ視聴、読書を続ける。コロナ感染しようのない環境に身をおいている。「やまと尼寺」が最終回でさびしい。ぼくも尼寺で作男として、雑用をこなす老人で雇ってもらいたい。「おじいさん、お茶が入ったので一休なさい」「これはこれは庵主さま、おそれいりやす。しかし、日が長くなりましたね。あとで庭の下草を刈っちまいましょう」。

3月が飛ぶように過ぎていく。28日に64歳になる。65歳から年金支給の通知がきたが、驚くほど少なく、月額が高い原稿料の書評一本分ぐらい。とうてい食べてはいけませぬ。やっぱり、作男として……。本を読むだけでページ数単価の収入があり、それで食べていけるといいのだが。