『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』増刷!

もう酔っ払っている。ちょっと早いか、ただいま19時過ぎ。『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』が出て一週間ではや増刷が決まる。おどろき、おどろき。反響が大きかったとのことで、うれしいです。

月曜に「本の雑誌田中小実昌第三回(ようやく次回から東京に)、「古通」の西新井「高田書店」の原稿を送付。今日はひと休み。ケン・ブルーウン『酔いどれに悪人なし』(ハヤカワ文庫)を読了。アイルランドの酔いどれ元警官による私立探偵もの、と言えば既視感が強いが、この探偵ジャック・テイラーは読書家で、さまざまな本の引用がなされる。そこが新味。

子どもの頃、図書館司書が教師となり、次々と魅力にとりつかれて本を読むジャック。母親はそれをいい顔しないが、父親は大いに推奨する。「本を読むのをやめるな」と父。その理由を聞くジャックに父は「本は選択肢を与えてくれる」と言う。

「選択肢って何?}

親父は遠くを見るような目になって言った。

「自由だよ、坊主」

 

「サンデー」から小林亜星についての文章執筆の依頼。ぼくは「寺内貫太郎一家」座談会の進行と構成、老いと終活についてのインタビューで2度、亜星さんに会っている。何度も書いて恐縮だが、座談会は奇跡的にその日、亜星さん、樹木希林左とん平西城秀樹浅田美代子が顔を揃え(このメンバーで顔を合わせるのは初めてだよ、と亜星さん)、その後次々と雪崩をうつように鬼籍に入られ、とうとう生存するのは浅田美代子さんだけになってしまった。ぎりぎりの座談会をやっておいてよかったなあ、と今思う。

丸山健二の短編を、文芸春秋の全短篇集でずっと読んでいる。佐藤泰志野呂邦暢復権にかかわってきて、「次は誰でしょう」と聞かれることがよくあるが、ひそかに丸山健二ではないか、と思っている。まだ存命だが。