柴又リベンジ、思いがけぬ参加者が!

26日、柴又へ。「新潮講座」リベンジである。その前に「西部」古書愛好会へ立ち寄る。吉田健一著作集(集英社)10冊ぐらい、100円で土間均一に放出されるのを見て、うううん、と声に出して立ち尽くす。こんな日が来ようとは。この日出た巻はたいがい所持しているが、疑わしき1冊を拾う。ちゃんと月報もついていて美本である。ほか、いんぐりもんぐりして8冊ほど。子供むけ偉人伝『夏目漱石』など。

このところそうだが、即売会に転売目的の中国人組による爆買いがあり(和本や書画、古道具の類)、耳を澄ますと帳場で「いま、10万(いくらか)」に精算がなっていてまだ買う。1枚100円で8枚800円の色紙を「高い」と値切っていた(交渉で200円に)。あっぱれ。もちろん即売会としては売上アップで大歓迎であろう。ただ、2人組男性が大声で(中国語で)会話していると、古本強者おじいさんから「うるせえんだよ!」と一喝されていた。館内で魚雷くんと遭遇、立ち話。書庫(および貧乏仲間の東京宿泊所)として借りているアパート、前のところが立ちのきにあい、新しく借りた部屋(立派なものだ)を見せてもらう。まさに本の倉庫と化していた。古書会館からすぐ。これじゃあ買うよなあ。

高円寺~新宿~日暮里~京成高砂~柴又と流れながれていく。天気が危ぶまれたが、ちょうどいい曇り空。参加者は9名。柴又駅前が再開発でファミマやカフェ、居酒屋と風景が一変していた。1年前の3月は商店街も帝釈天も寅さん記念館もガラガラだったが、この日は大変な人出。

前は叶わなかった「矢切の渡し」にも乗船(400円は高いと思うが、のち安いと分る)。これも満席。向こう岸の矢切へ渡る(行ったって何にもないから損するよとガイド)のではなく、江戸川を周遊して戻ってくる。船頭のガイドつき。これが思いがけずよかった。下船後、江戸川堤を歩き、金町「書肆久遠」で古本締めをして、有志でささやかに打ち上げ。初参加者の男性がいて、名刺をもらうと「川口則弘」とある。「あれえ、知ってる名前だぞ」と声に出る。「直木賞」研究家で、独自のサイトを運営、その方面の著書も多数ある(ぼくも持ってる)人だった。担当の新潮社Mさんが興奮し、「わあ、これは失礼しました」と言って、「新潮講座」への登壇を勧誘。まさにぴったりの人材であった。自分からは言わない。奥ゆかしさを見習いたい。