線香の煙が晩秋の空へ

本日、午前中に「古通」連載「三日月書店」編を書いて送付。すぐ支度して、八王子「白い扉」へ。最寄り駅は「高尾」。髙橋さんの迎えの車を駅近くで待っていたら、変なおばさんにブツブツと声をかけられる。怖かった。心底おびえる。

「白い扉」の展示室から絵を撤収、居間で売り上げ精算金を受け取る。来館者の数と売り上げは、前回の半分くらいか。1回目はご祝儀と義理で来てもらった人を2回目も引っ張る力はなかったようだ。そのかわり、今回、初めて来てくれた懐かしい人たちがいて、やっぱりやってよかったのだ。髙橋さんにはすっかりお世話をかけっぱなしで、お疲れだったと思う。

撤収した絵や売れ残りの本、備品などを積んで髙橋号で自宅まで送ってもらう。車中、東京人の髙橋さんに、「探偵! ナイトスクープ」におけるカンニング竹山の優秀ぶりを力説する。先日の、父のいない野球少女とのキャッチボールもよかった。帰り途中、谷保近くの墓地に、両名、兄貴分として慕っていた(付き合いは髙橋さんの方が、長く、深い)S氏の墓に詣でる。たくさん花がすでに手向けられていた。享年65歳だったのか。ぼくも来年3月で追いつく。線香の煙りが晩秋の空に立ち上る。

立て続けに、久しぶりの文庫解説2本、原稿依頼がある。両者とも著者は大物だ。ちょっとビビるが、60を超えて、ビビっている場合じゃないだろうとお引き受けする。文庫解説が月2本、いや1本でも常時あれば、ずいぶん助かるのだが。もっと原稿のクオリティを上げていかないと、明日はないと思い知る。