白酒・三三の二人会から東陽町「マーブル」へ。

文庫解説、なんとか合格だったようで、編集者からのメールを受け取り安堵する。支度をして11月の最終日、外出。西荻「盛林堂」の岡崎棚に少し補充、絵画展での図録売り上げを渡す。近所に借りた倉庫を小野くんに見せてもらったが、けっこうな広さですでに本棚が並び、ネット販売用の本も待機中。この倉庫の使い方については、いろいろ考えている由。買取も連日、あるそうで、精力的に動く盛林堂。

お茶の水総武線乗り換え、「平井」下車。ひさびさに「平井の本棚」訪問。いや、ここはいい店だわ。人文、芸術、文学、サブカルとよく吟味された選書で本が売られている。一冊だけ購入。平岡正明『芸能の秘蹟』。折り返して「亀戸」。カメリアホールで、「白酒・三三」二人会を落語三銃士で並んで聞く。ほんとうは四銃士だったが、介護している親のケガで一名が欠席。白酒が「浮世床」「替り目」のにぎやかで明るい高座を務めれば、三三が師・小三治譲りの正統的古典落語の世界を「加賀の千代」「家事息子」でたっぷり、しっとり、端正に現出してみせた。いい会だった。

いい噺を聴いた気分を身にまとってタクシーで東陽町の古本酒場「マーブル」へ移動。雨が降り出した。おいしい料理に、酒を酌み交わし、ささやかな忘年会だ。「マーブル」さんは一昨年一月以来。まだコロナ禍の前だ。いろんなことをマーブルさん(へえ、そうだったのという話多し)や気の合った面々、常連の女性客をまきこみ話し、気づいたら終電ぎりぎりの時間。で、けっきょく最寄り駅までの終電を逃し、これがいよいよ終電の便に乗り込み(終電が早くなった)、終点の武蔵小金井駅からタクシーで帰還。家についたら1時を回っていた。散歩堂さんが「これ使ってください」とタクシー代をカンパ(いい人なんです)してくれたが、タクシーに乗りながら、「いやいや、甘えてはならぬ。これは返さないと」と誓う。

今日は「サンデー」の締め切り。今週発売の「週刊現代」で、「シクラメンのかほり」(1975)の思い出について、いろんな人が語る一人としてコメントが掲載された。4日(土)は今年最後の「新潮講座」で、文学さんぽをやめて野呂邦暢読書会。この準備もしないと。野呂の本を固めて入れた箱がどこへ行ったか。これを探し出さないと話にならぬ。年末進行の早まる締め切りがこれから相次ぎ、13日ぐらいには片が付いているのではないか。