『古本屋的! 東京古本屋大全』は大変な面白さ

白水社「愛書狂」、いくつかネタの候補があったが、机の引き出しから池内紀さんからの、書評のお礼のはがきが見つかり、川本三郎さんとの対談『すごいトシヨリ散歩』を取り上げることに。4分割の段落に、あるアイデアを盛り込み、あっというまに書き上げる。このアイデアは書いているうち思い浮かんだ。すぐゲラがfaxされてくる。すぐ手を入れて返す。すごいクイックリターンだ。

いちにち、「新潮講座」野呂邦暢読書会の準備。どこまでやればいいか。きりがない。自分が書いた文章がいちばん役にたつことになる。ちくま文庫版『上京の文學』に書下ろしで入れた野呂の章が勉強になった(って、自分で書いたんだが)。そうか、そうか、そうだよなと納得する。

毎日のように、身内の死去による年賀状欠礼のはがきが届く。80代とか90代とか、知人の身内がそういう年になっているということだ。中山信如編著『古本屋的! 東京古本屋大全』(本の雑誌社)が、晶文社のバラエティブックの仕様で、2段、3段、4段でがんがん詰め込み、とにかく大変な面白さだ。熟読すると気を失いそうになる。「古書月報」は部外秘なだけに、みんなあけっぴろげに書いていて、それが貴重な記録になっている。こんなに面白いもの、めったにあるものではない。あまりのボリュームと内容の濃さに、これを紹介するのは大変だぞ、と思うが、どこかに紹介したい。

野呂邦暢古本屋写真集』の巻末対談で、古ツアさんに、このところ古本屋関係の本があまり出ないと発言したが、どうしてどうして。すでに名著の橋本倫史君の『東京の古本屋』を始め、ぞくぞくと古本、古本屋本が出ている。この、ほんの数か月のあいだのことだ。それに刺激されて、いろいろ古本関係でやりたくなってきた。『女子の古本屋』第二弾を、どこかで連載させてもらえないだろうか。気運は高まっている、という気がするが。ダメですか。みなさん、応援よろしくお願いします。

そういえば、「ちくま」連載時には掲載された大阪心斎橋の某古本屋さんが、単行本化の収録の際、断られてしまったが、その後、お元気だろうか。みんな、いろいろ事情を抱えておるのだ。