上野をさまよって奥羽を透視する

午前中に『狂伝 佐藤泰志ー無垢と修羅』書評を書き上げ送付。400字1500枚の本を2枚強の分量で紹介するのだから、うーん手こずりました。言いたいことはいろいろあったのだが、最低限の紹介はさせてもらったつもり。

力を出し切り、午後高円寺。「好書会」館内を2巡し、数冊を買う。詩を読みたくなって飯島耕一『上野をさまよって奥羽を透視する』集英社を買う。1980年代、集英社からたくさん現代詩の詩集が出ていた。

帰り、国分寺下車。「七七舎」へ。メシアンのCDと、昭和12年に非凡閣から出た室生犀星全集別巻の布張り本体の裸本ほかを。いや、本好きなら、見れば誰でも欲しくなりますって。庭についての文章、禽獣虫魚の随筆を集める、いい巻だ。昭和11年から12年ごろの本は、本文用紙の紙質がよく、ほとんど劣化がない。いくつか証拠を持っている。これは丸谷才一が指摘した。

移動の電車では山本健吉編著『句歌歳時記 夏』新潮文庫を読む。山本健吉の短い解説は的確。「遮断機の今上りたり町薄着 高浜虚子」は「如何にも軽やかな句の仕立てだ。句柄そのものが、町中の初夏にふさわしい」と必要にして十分。いいと思った句歌には頭に鉛筆で丸印を打つ。