とうとうその日がきたか。

火曜日、炎天下、九段下の毎日新聞出版部へ。月一度になった本えらびを終えて、担当のSさんにうながされ、編集長と個室で話をする。もうこの時点でなにごとかはわかっていた。月4回発売が3回になった時点で雲行きが怪しかったが、10月からの誌面再編で、ぼくが担当してきた「今週の新刊」ページが9月いっぱいでなくなるという。書評ページは2ページに(現在6)。

かたちを変えながら、「サンデー」で30年近く、毎週、書評ページをもっていた。自分の都合で休載したことは一度もない(あたりまえか)。海外旅行へ行った時も熱で倒れた時も、なんとかしてきた。特集ページや座談会、取材ものでも誌面参加し、ひょっとしたら家のローンは「サンデー」が払ってくれたようなものかもしれない。「わかりました。長年ありがとうございました」と礼を言って話は終わり。

それでも、金銭的には「サンデー」がなくなると、たちまち崖っぷちだ。ううむ、と思案しながら喫煙できる喫茶店でタバコに火をつけ30分ほど放心する。「失業者」の気分。これまで何度も、雑誌の休刊(ラジオのレギュラーの終わり)を経験し、そのつど、月収の極端な目減りを案じてきた。それでも、なんとなく新しい仕事で補填され、なんとかなってきたのだ。今度ばかりは、と思う。出版事情も悪すぎる。

なんとかなるだろうし、なんとかするしかない夏の日だ。