心なき身にもあはれはしられけり

30日、西荻下車「音羽館」経由で、これが最後の「サンデー毎日」本選び、九段下へ。もう編集部へ通うこともなくなる。定年退職の気分。同じフロアの「エコノミスト」編集部にいる北條くんに声をかけ誘い出し、千代田区役所ロビーで少し話す。ライター稼業の哀歓について、少しだけ愚痴をこぼす。北條くん、還暦を迎えたそうだ。異様に若々しいが、そうであったか。年内、一度集まろうと約束する。実現すればいいが。

茶店ちくま文庫Kくんと打ち合わせ。まだ書けないが、来年、一冊文庫が出る。やっぱりこちらも増補で書下ろしが必要か。帰り、ちょっとぼーっとしていて、一通の車が来る方だけ見ていて、流れが途切れて自転車を走らせたら、「こらー、気をつけろ」と怒鳴られる。逆から自転車が来ていたのに気がつかなかった。あやうく衝突するところ。ドキドキする。いつもは左右、気をつけるのだが、慎重に生きないと、災厄がもっと大きくなる。声をかけてくれる人はまだいる。やることはこれからたくさんある。いい仕事をしよう。

心なき身にもあはれはしられけり鴫たつ沢の秋の夕暮   西行法師