「女系家族」にほれぼれ

書いていた文章が消えた、という話をしたが、大映映画「女系家族」についての文章ほか、だった。「女系家族」について、また書く気はしないが、とにかくほれぼれする出来だった。すぐにまた、細部をチェックするため見たくなる。妾の若尾文子が住む家の最寄り駅が「神ノ木」。土手の上に駅舎があり、土手の上を走るのだが、どこか見当もつかない。調べてすぐわかる。ははあ、ちんちん電車の「住吉」さんの手前の駅か。すぐ北が帝塚山や。住吉さん(住吉大社)もすぐ近くや。ここへ主が急死した木綿問屋の番頭、中村鴈治郎が訪ねていく。渋茶の味わいでエロ(愛人が北林谷栄)の鴈治郎、素晴らしい。京マチ子、ほんま、いけずやわ。にくらし。高田美和が現代娘で儲け役。浪花千栄子がぴたりとはまって、存在感を出す。配役はベスト。

てなことを長々と書いたのでした。

台風14号、予想よりやや勢力を弱めつつも、強風と大雨をもたらし、終日、家にとじこもる。やりかけで出口の見えない単行本の大幅加筆に、ややうんざりしながら、少しずつ取り組む。野見山暁治『四百字のデッサン』が必要になり、単行本も文庫も持っているはずだが、とうてい見つけ出せず、妻も持っているはずだと打診したらすぐ出てきた。遠く離れた市内の図書館まで行くつもりでいたのだ。

阪神の試合のない日は心穏やかに過ごせる。やるべきことをやらず、凡打、ゲッツーを繰り返すチームが、優勝争いなんておこがましい。相手にとって、こんなに対戦しやすいチームはないだろうと思う。ひどくあっさりした「お茶漬けチーム」である。