スムースの仲間二人の本が届いた。

山本善行『本の中の、ジャズの話。』(書肆よろず屋)に続いて、林哲夫『喫茶店の時代』(ちくま文庫)が届いた。めでたい。「スムース」のメンバーで、本当なら集まりお祝いしたいところ。仲間の本が出るとことのほかうれしい。どちらもブックデザインは林哲夫さん。同じ装丁者と思えないほどテイストが違う。山本の本も楽しい表紙になった。タイトル文字のレタリングは、植草甚一のスクラップブックを彷彿とさせる、というかそれをまねたもので、分かる人には分かる。

山本の本が先に届き、ウイスキーをなめながら、パクパク食べるように読んでいる。一話一ページというのもいい。ジャズが出てくる本の紹介という建前で、古本屋としての日々、ジャズ喫茶や、別の本の話などフリージャズのように、あちこちぶつかりながら話題が飛び散り、展開していく。「ろくでなし」「蝶類図鑑」などのジャズ喫茶、あるいは中古レコードの「スローターハウス」などは、私の青春とも重なっている。懐かしい名前だ。こないだ京都入りした時に、山本とはあれこれ話したが、ジャズの話になり、そうそうこの本にも紹介されている粟村正昭『ジャズ・レコード・ブック』にはお世話になったなあ、と。とにかく、たくさんの情報と気持ちが詰め込まれた本で、薄く軽い本に仕上がったのも、かえっていいと思える。

山本の本に刺激されて、この数日、よくジャズを聴いている。外に出ちゃいけない、というんだから、本を読み、音楽を聴き、映画を見るしかない。いま、チャーリー・ヘイデン&ケニー・バロンのデュエット「ナイト・アンド・ザ・シティ」を聴いている。