「松屋」で撃沈

来年出る予定の書きおろし新書の準備をあれこれ。とにかく本を出さないと、この世界で生きる路標にならない。

開高健「輝ける闇」に、王維の漢詩が出てきて、それで漢詩に少しだけはまっている。七七舎ですぐに王維の本を見つけたときはびっくりしたけど。インスタに王維の「元二の安西に使するを送る」という有名な七言絶句を挙げたら、スレッドにすごい反響があり(といっても20いくつか)、スレッドってなんだ、そんなの関わっていたっけと驚く。漢詩が響くというのが面白い。少し、研究を続けます。歌謡曲「蘇州夜曲」なんて、ほとんど漢詩の世界。

先週、西荻に昼過ぎ下りたとき、どこかでメシをと「松屋」へ入って、新しいシステムの券売機に向かうも迷路にはまったごとく、混乱し、2度3度チェレンジしまじろうするも進展せず。「なんじゃ、俺を誰や思てんねん」と腹立ち、券売機を蹴り上げそうになり撤退。「松屋」なんてなくても、まったく平気だ。ふん、だ。思えば、30年くらい前まではカウンターに座って「並、に〇セット(みそ汁、玉子、サラダ)」と告げれば「はーい、並に〇セット」と店員が厨房に告げてミッション完成だった。江戸時代と同じ。屋台のソバ屋で、「しっぽく、熱くしてくれ」「はいよー、ありやとさん」とそれで済んだ。個人経営の町中華なども江戸方式。

メルカリは堅調。昨日は4件。取り違え送付問題はまだ落着していない。一人のやり取りでは、成立してしまいキャンセルできず、メールのやり取りで、着払いで送ってもらうことになり、住所氏名など告げて「あ、岡崎さんですか」となった。ケアレスミスから、知らない人とつながりができた。それで危ないこともあるが、面白い。

雨の日、阪神を憂う

長い雨とともに阪神、どうなるの?

火曜はシルバー、雨の日でいつもより10名ほど来る人が少ない。涼しくて、かえって雨の日はいい。ストラヴィンスキー、武満徹などを聞きながら。すっかり顔なじみになった人も多く、言葉を交わすようになった。

水曜はデッサン教室。こちらも雨、自転車で来たのはぼく独り。モチーフ2を仕上げるが、手を入れれば入れるほど、よくない気がしてきて大いに煩悶す。七七舎へ寄らず帰宅。じつは、前夜メルカリ二件、取り違えて発送してしまう。相次ぐ痛恨のミス。前にもあって、受付番号を控えて、封筒に書きこみ確認するようになったが、この日、顔見しりの店員が受付、あれこれ聞いてきたのに答えてうっかり確認せずに送ってしまった。案の定だ。事後処理にスマホ上で奔走する。

「恥じることはないが、懲りるだけは懲りろ」と「赤ひげ」で加山雄三に言った三船の言葉を思い出す。

某誌原稿、きゅうきょ担当者が代わり、400字5枚を8枚にしてくれ、と言われる。じつは、字数計算を間違い、8枚ぐらい書いたのを縮めたのだった。少しだけ手直してしてすぐ送ったら、「早いですね」と驚かれた。

「望星」ライター稼業は、依然として「十人十色」の話を書く。あ、先月書いた新作がアップされております。今回は玉川良一、渡辺正行、山田五郎、タモリが登場。飯倉「キャンティ」についても書く。書くことが多すぎて、いつになったらフリー時代に突入できるのか。

ひきこもごもな古希前の私

阪神、あーあ。

10日、午前、早稲田の「平成会」は年二度、本の話をしに行っている。もう7~8年になるか。今回は66名の参加。山本周五郎『かあちゃん』、倉本聰『君は海を見たか』、吉田健一などの話をする。休憩挟みここまで1時間半。あと15分、持参したギタレレで「神田川」「遠い世界に」「海岸通り」などを歌う。

午後、シルバーの仕事でポスティング、途中から雨も降り難儀する。全戸に配るなら楽だが、投函する家に条件が加わり、ほとほと困惑、消耗する。時給300~400円ぐらいか。あと2日かけて、なんとか担当の町の全区画をまわる。町の隅々、路地奥まで巡るのはいい経験になった。余りの苦行に愚痴ると散歩堂さんが「お金もらって、自転車のエクササイズをしている」と思ったらどうですか、とアドバイスくれる。

さすがに夜中、両足がつって飛び起きる。

「すこーれ」はケストナー『飛ぶ教室』を。何十年、50年?、もっとぶりの再読だが面白かった。まだ感動できる自分がいた。全寮制の学校の庭で廃車となった電車車両を住処とするボヘミアン「禁煙さん」(車両が禁煙車両のためそう呼ばれる、喫煙者)にあこがれる。天気のいい日は花咲く庭に寝転んで本を読むのだ。少年のころにも、こんなふうに生きられればと思ったが、老年になってふたたび同じことを思っている。

ひさびさ、メルカリ受注の本が見当たらず、日曜いちにち、よみた屋、古書センター、古書ワルツ、岩森と探索、見つからず、これで見つからなかったらもう謝るしかないと西荻「盛林堂」で、ここがいちばん当該シリーズの数は少なかったが、あっさり見つける。店番しているフミさんに思わず事情を説明し「助かったわあ」と告げる。注文があってから一日以上たっていたが、送付するとコメントに「迅速に対応していただいて」とある。そうか、よかった。

「東京人」から依頼された吉田健一と日本酒、なんとか書き上げる。いや苦労しました。

火、水と雨を通り抜けて

火曜は午前、シルバーの仕事。うまく涼しい午前になってありがたい。40名ほどの市民に応対。少し言葉を交わす人も。少し顔見知りの人が増えてきた。この日はビルエバンスを聞きながら。「これ、何?」と聞かれ、「ジャズです。有名なピアニストでして」と。「あら、いいわね」。そんな何気ないやりとり。いつも道の向こうの農園に「百日紅」の赤い花が見える。秋になって空気が澄み始めると、富士山もくっきり見えるのだ。

水曜は午前、デッサン教室6日目。2つ目のモチーフ、野菜と壺、に取り組む。質感を鉛筆だけで出すのが依然難しい。2時間ほど集中。大雨の続く日だったが、うまく行きかえり雨を回避する。心がけがいいからだろうか。七七舎で均一5冊と、ジャズのCD300円を買う。北村君、買取の本を仕分け中。「わ、こんなのが混じっていた」と見せてくれた。ほかは、ほとんど値がつきそうにないが、なぜか1冊、間違いなく売れる本が。「まあ、こんなこともないと、面白ろないやろ、この仕事も」と。

午後、シルバーの単発の仕事の依頼。いわゆるポスティング。いや、なんでもやりますって。電動自転車を買っておいてよかった。吉田健一と酒について原稿を頼まれ、こちらも準備。材料が揃えば、書くのは早い。それにつけても甥の麻生太郎の下品には、おじさんの爪の垢でも煎じて飲めといいたくなる。

倉本聰『君は海を見たか』を再読。平幹次郎主演版。萩原健一版の印象が強く、あわせて、来たる「平成会」(1年に2度、年配者を前に本の話をする)でと思う。用意したネタがころころ変わるが、まあ気持ちが新鮮なほうがいいだろう。いつも最後に15分か20分、ギタレレで歌を唄う。早稲田界隈なのに、これまで「神田川」を忘れていた。キーを5度上げて、ギタレレ仕様のコードを振る。そうか、Aマイナーになるのか。ちょっと練習。大貫妙子「風の道」も歌いたいがコードが分からず、聞きながら拾う。ちょっと難しいか。しかし挑戦する値打ちあり。雨だから「雨の物語」も歌うか。

秋、高校の友人が鹿児島から上京してきて会いたいと、いう話を1年7組の守護神Sに話したら、「おれも行こうかな」と大阪から参加することに。いっしょに拓郎聖地巡礼をするつもり。なんとか、そこまでは生きていないと。これからは1年1年だ。

 

メルカリで大儲けしている人がいる

あいかわらず、メルカリ、値下げ要請多し。どうもそういうもの、という前提があるらしい。断ると、ほとんどそこでストップ。ほんのたまに、元の値段で買う人あり。「いくらまで値下げしてもらえますか」などは、ちょっと不愉快なり。プロフィールに値下げしない旨、書いているが読まないらしい。新しい出品にはプロフィールを読んで、と加える。800円を500円にしろ、というケースもあるが、送付料プラス手数料、梱包のコスト(平均300円)を引くと500円なら200円になり、仕入れが最低でも100円だから、儲けは100円。70近いおっさんを100円で働かすのかと、勝手に腹を立てている。しかし最低価格の300円で出品している人もいるのだ。からくりを知りたい。

動画でメルカリの実践者がノウハウをアップしているもの、無尽蔵にあり。しかし100%がアパレル。仕入れは激安倉庫、セカスト、ほかジモティなど。ハードオフというのはないようだ。100円、0円で仕入れ、ものによっては万単位になるという。月50万、100万稼ぐ人もあり、下請けに作業をまかせ、自分はしない、というケースもあり。悠々と旅行に行ったりしている。驚いたなあ。割り切って徹すれば、人にこきつかわれて低賃金で働くよりよほどいい。ライバルは多そうだが、

本は完全な薄利多売。しかし、アパレルに手を出そうとは思わないのだ。専門知識が生かせる自分の領域を守って、得意分野で勝負したい。とまあ、そういうわけです。

今週、少し気の張る締め切りあり。雨は家に閉じ込められるから、ある意味いいのだ。

体重落ちて懐かしい友から電話

あ、9月ですか。涼しい日つづく。白水社「愛書狂」、当初岩波文庫のことをと思って準備していたが、数回前に荷風の断腸亭について書いたばかり。きゅうきょ、「ぴあ」ムック1988年版について書く。工藤静香と長島一茂が表紙。

火曜午前がシルバーの仕事、水曜午前がデッサン教室と、一週間が火と水中心に回るようになってきた。ピン止めする曜日があるのはいいことだ。

昨日、糖尿の検診。インシュリン注射とべつに、高価なマンジャロという注射が加わり(どちらも皮下注射で痛くない)、これが食欲を減退させるやせ薬で、前回2か月前から5キロ近く体重が落ちた。あごが鋭角になってきた。血糖値も改善。薬が一つ減る。

20年前くらいか、禁酒および過激なダイエットをして、このときは70キロ台まで落ちてふわふわしていた。

昼はサンドイッチかあんドーナツというような「パーフェクトデイズ」みたいな日々で、それでも腹は減らず。長らくかつ丼を食べていない。ただ、酒も飲んでいるし、アイスも食べるという軟弱なダイエットではある。

昨日、急にスマホに着信あり。出ると高校の同級生だったNだ。10年くらい前までは東京にいて、何度か一緒に飲んだことがある。ひさしぶりに東京へ行くので会えないか、という。もちろんもちろん。じつは高校時代、ほとんど言葉を交わしたことはない仲だったが、同じクラスだったこともあり、同じ時間と場所を共有したというだけで気持ちは近い。Nはいま鹿児島県伊佐市に在住。伊佐ってどこだと地図を見たら、熊本に近い。地震はどうだったか、会ったら聞いてみよう。勤めているホテルを辞めて、再就職というが、70歳で再就職ができるのがすごい。準備している本にからんで、同年配の人になるべく多く話を聞きたいのだ。

開高健『夏の闇』再読はもう半分くらいまで。充実した言語空間にひたる読書。いい楽しみを若いうちに身につけてよかった。

井の頭公園で永遠ということを考える

30日、涼しい。少し迷ったが、木曜初日にすでに指紋をつけた高円寺「ブック&A」展へ。初日に買わなかった、モダン都市文学叢書『プロレタリア群像』の巻を、やっぱり買おうと思って向かう。売れ残っていて、500円。これで5巻揃った。じつは、ずいぶん前に全巻もっていたが、大量処分のとき、売ってしまっていた。「モダンガール」の巻が人気もあり、少し高い。これはまだだ。

あと、ちょこちょこ買って、西荻「盛林堂」へも寄る。「ヒッチコック・マガジン」が、状態はやや悪いが3冊出ていて、これを買おう。吉祥寺「よみた屋」で散歩堂さんと待ち合わせ。大阪帰省していたから、ずいぶん久しぶり。散歩堂さんは超多忙で、東京へ戻ってからスケジュールがびっしり。夏、どこへも行かなかったぼくと好対照。

あちこちで古本屋が店舗新規開業している。「古通」連載時なら、はせ参じるところだが、いまは気力がない。

吉祥寺駅周辺のカフェ、喫茶はどこも人がいっぱいなのは、懲りていて、散歩堂さんを誘い、井の頭公園の空いたベンチに腰掛け、一時間ほど景色や人を見たり、少し喋ったり、また黙ったりして過ごす。黙っていてもそれはそれで大丈夫、という関係がありがたい。

頭の上では蝉の声。涼しい空気に包まれ、なんだか体が溶け出しそうだ。大袈裟に云えば「永遠」というものを感じる。いい時間だった。人で窒息しそうなカフェで600円近くお金を出してまずいコーヒーを飲むよりよほどいい。水質悪化して緑に変色した池に、スワンボートや手漕ぎボートがたくさん浮んでいる。

犬を連れた人、自転車で駆け抜ける人、子連れの人、女性同士の組み合わせ、そしてカップル、老人など人間どうぶつえんだ。

昨夜NHKドキュメントで開高健のベトナム戦争と「輝ける闇」を、角田光代さんが現地へ取材しているのを見て、「輝ける闇」が読みたくなる。もう5~6回は読んでいるが、今回読むと、また新鮮なのに驚く。ちなみに新潮文庫の初版帯を持っている。10数年、文庫化されなかったのは、新潮の書き下ろし長編に不可侵の威厳があったからだ。「輝ける闇」あたりから、随時、文庫化されるようになった。