ニンジンをぶら下げて

涼しき雨の日。夜、父カレーを作る。じゃがいものでんぷんが出すぎて、ベタッとした出来栄えに。このカレーみたいに、昨日今日と、ベタッと重い心を抱えて生きる。まったく、60過ぎて悩むようなことかね、と思いつつ、弱い心を恨む。しかし、弱い心だから分かる、見えることもあるのだと慰める。八木重吉を読む。

「ひにくなこころと/いかれるこころと/ふたつとかして/ただうつくしく/しづかにながれたい」(無題)

これを甘いというだろうか。タバコが喫いたくなる。東京都の外へ行かないと、いま、タバコを吸う場所がない。こないだ、埼玉県某市の居酒屋で友人と飲んだ時、普通に、カウンターに灰皿が置いてあって、なにか新鮮なものを見るような目で見た。部屋のどこかに、2箱ぐらい、吸いかけのタバコの箱があるはずだ。もう2か月ほど、一本も吸ってないが。東武東上、八高、秩父鉄道が交叉する「寄居」へ行きたいと思う。よさげな古い町らしい。

落語の舞台を歩くシリーズ。杉並「妙法寺」(「堀之内」の舞台)へ、と思うが、近くて遠いんだよな。いろいろな関心を目の前にニンジンのようにぶら下げて、馬のごとく前へ進むなり。いやあ、なかなか大変であります。