日活「事件記者」はいいぞ。

強い雨で一日、家に閉じ込められる。秋が深まるのか。咳は、体が裏返るような激しい咳で、夜中、飛び起きることはなくなった。医術のおかげである。

小金井「中央書房」で買ったユッシ・エーズラ・オールソンの「特捜部Q」シリーズ『知りすぎたマルコ』上下を2日で読み上げる。陰鬱な北欧ミステリーだが、ふしぎな味とユーモアで緩和される。

盛林堂より、『昨日も今日も古本さんぽ』三校がどさりと届き、連日、終日チェック。初校、二校で手を入れたので、まだほころびがある。この8年、コロナ禍を含め、いろんなことがあったと、このクロニクルで思い出す。この8年でめっきり年取った。50代でまだ保っていた6~7のレベルが、いま4~5か。

先日、ピッポさんとのトークで下北沢を歩いたが、ほとんどが10代20代の若者が雑踏を埋め、通り抜けると、高いテンション、みなぎる自意識、発散されるホルモンに息苦しくなる。ホルモン風呂に浸かっているようだ。来週、締め切りが集中する。やれることは今からやっていたほうがいいか。「古通」連載最終回は書いた。

ユーチューブで日活「事件記者」全10回が視聴でき、3まで見た。いやおもしろい。警視庁記者クラブ呉越同舟に巣くう、新聞社社会部記者たちの生態がじつにリアル。某紙キャップ(デスクには黒電話が四五台)の永井智雄なんて、本当にそこに常駐しているようだ。いつも傍らで戦況を見守るベテラン大森義夫は、これまで意識することのない俳優だが、パイプをくわえ、自分では動かず、新入りが失敗でしょげると行きつけの飲み屋(美人女将)に連れていって励ます。いい役だなあ。

ほか沢本忠雄、滝田裕介、山田吾一清水将夫、薗井啓介、原保美など、バイプレイヤーたちが勢ぞろい。主役級が出ていないことが群像劇に適している。昭和30年代初頭の東京の風景もいい。ユーチューーブ「事件記者」で検索どうぞ。楽しみが増えた。

AXNミステリーで始まったドラマ版『薔薇の名前』全8話も楽しみに見ている。映画版も見たが、長尺の分、細部まで原作により忠実に描かれているか。原作を読みたくなってきた。あれほど売れた本だから、いずれ安く入手できるだろう。あわてない、あわてない。