柳田国男『炭焼日記』

コリン・デクスター『ウッドストック行最終バス』読了。新保博久さんの解説が年季の入った、手間のかかった充実ぶりで、解説とはかくありたいと思う。

再開した図書館、さっそく出かける。二カ月近くぶりか。入口に関所あり。消毒はもちろん、用紙に書き込んで提出することに。コロナ禍の追跡調査のためならん。大仰かつ面倒だが、しかたない。みんな悩んで大きくなるのだ。

原武史「歴史のダイヤグラム」(「朝日新聞」be連載)を愛読していて、切り抜きもするのだが、「柿生の『離宮』と柳田国男」と題された回で、柳田の「炭焼日記」を使って叙述されている。成城にいた柳田は、毎週のように多摩丘陵一帯を散歩していたことが分かる。しかも柿生から稲城長沼に至るなど、長距離。この「炭焼日記」がちくまの文庫全集「㉜」に収録されていると知り、図書館で借りる。

無料配布のパンフ「野川さんぽ」がよくできていて、これは永久保存なり。いろいろ考えること多し。一日の半分以上、寝転がっている赤いソファーで、けっこう本も読まず、音楽も聴かず、ぼおっとしている時間が増えてきた。病院へ検査(手術)するため出かけた老齢男性(といっても70前)が、ちょっとここで、と看護師に言われ待合室の長いすに腰かけている間に息を引き取った、という話を聞く。変死扱い、であろうか。ミステリばかり読んでいると、いろいろ妄想が働くが、そういう死に方もいいんだと思えてくるのだ。