パターソンのパターソン

27日、連休初日になるのか、高円寺「書心会」経由新宿へ。「パーフェクトデイズ」を見て感激、ロケ地めぐりをして2度目を一緒に見た、ぼくと散歩堂さんとMさんトリオで、ジャームッシュ「パターソン」2016を武蔵野館で見る。いろんな意味で「パーフェクトデイズ」と比較したくなる作品だった。非常にまんぞく。

ニュージャージー州に実在するパターソンという町に住むパターソン。妻と犬と暮らし、市営バスの運転手をしている。堅実なルーティンを守る静かな暮らし(夜、酒場へ寄る)ほか、小食(朝はシリアル、昼はサンドイッチほかの弁当)も「パー」の平山と似ている。パターソンはノートに詩を書いているのも「文学つながり」。スマホを持たない(拒否)のも一緒だ。

違うのはパターソンに美しい妻がいること。この妻が可愛い女で、かなり個性的なのだが、夫は妻を全面肯定し、いちゃいちゃする。パターソン出身(川本三郎『映画の木漏れ日』によれば、じつは同州ラザフォード出身)の詩人、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(ぼくは訳詩集を持っているが古書価急騰中)の詩と詩集がうまく使われ、日本から来た詩人(永瀬正敏)との交流もあり。もう一度見たくなるところも「パー」と同じ。

いい気持になって、まだ明るい夕方の新宿、ゴールデン街のMさんの行きつけ「ガルガンチュア」で打ち上げ。映画の話あれこれ。高齢のママさん、「同じ映画を見て、そうして感想が言い合えるって、いいね」と言われる。「パーフェクトデイズ」は賛否あり、「否」の人は完全否定という点が面白い。いいか、悪いかはっきりしている。ぼくなど、「パー」の良さがわからないようじゃあ、どうもしようがないなと思うが人それぞれでいいだろう。「パー」がいいと思った人には「パタ」もおすすめ。

この日、ネットで購入した、木のステッキを持ち歩く。安西水丸(足が悪いわけではないがステッキ愛用)と、植草甚一の真似。歩くのにずいぶん補助になるのと、古書即売会で下の段をしゃがんでみていて、立ち上がるとき重宝する。しかし、ステッキをついていても、この日、電車で席を譲られることはなかった。