年末の読書はイーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』を吉田健一訳で

静かな年の瀬である。山下達郎の印税がはねあがるクリスマス・イブ。クリスマスはチャップリンの命日でもある。「ホワイト・クリスマス」を作詞・作曲したアーヴィング・バーリンは、この一曲の印税で裕福に暮らせたという。

年末の読書はイーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』を吉田健一訳で。じつは以前読み始めて途中で挫折してしまった。今年最後の「サンデー毎日」原稿を昨日送って、これで仕事仕舞い。時間をかけて、ゆっくりとこの一冊に集中して読み終えることにしよう。

ミステリの翻訳本みたいに、登場人物一覧を作って挟み込む。カバーなしのちくま文庫なので、表紙に自分で「私」チャールズとセバスチャンの絵を描いて着色する。扉にはブライヅヘッド邸を描く。いつか、私が死に、本が売られ、これが人手に渡る日が来るだろうか。

「煙草の青味掛った灰色の煙が木の葉の青味掛った緑色の影に向って真直ぐに昇って行き、煙草の匂いが私達の廻りに満ちている夏の幾つもの匂いと混じり、黄金色をした葡萄酒の酔いが私達を芝からほんの僅かばかり浮き上らせて、宙に私達を支えているようだった」