御殿場で冬の富士を拝む

23日快晴。盛林堂&古ツアコンビ、蔵書整理シリーズでまた来てもらう。階段に積み上げた500冊ほど(と、小野くんは一瞥でふんだ)。お金に換えたいので、蔵書のロース部分もどしどし放出。一方でたまりにたまった文芸評論関係は一冊100円にもならぬだろうと観念し、こちらは「減らす」ための選択。タモリ関係一式や、演芸、芸能、テレビ関係もざっくり削る。奥野他見男も10数冊、ぜんぶ手放す。一時期、見かけたら買って、この戦前の軟派ユーモア作家について、何か書きたいと思って集めたが、読むとあまりにくだらないのでストップしていた。もう思い残すこともない。あと、数回、減らせば、かなりいい蔵書環境が作れそう。また、減った分、買ってしまいそうで怖いが。売上金は年越し費用となる。「どん兵衛」で年越し、は免れそう。

24日快晴。朝早く目覚めて、サッと支度をして「青春18」3回目を使い、御殿場線「御殿場」へ。八王子から相模線で茅ヶ崎経由。ユーミンの相模線だ。「相模線に揺られてきた 茅ヶ崎までの間あなただけを思っていた」(「天気雨」)。国府津御殿場線に乗り換え。これまで沼津までの完乗、山北での下車と2度体験。今回は御殿場駅に初下車。「ブ」へ寄り、駅前立ち食いソバ店で昼飯(それじゃあ、どこへ行っても同じじゃないの)。いいんです。富士山を大きく見るための2時間ほどの滞在。浅間神社近くの古い純喫茶「ベル」でコーヒー。ここはたばこが吸える。沼津から嫁いできた(雪かきなんてそれまでしたことがなかった)ママさん、感じよし。義祖父が始めた店だという。よきママさんを独占し(客はぼくひとり)あれこれしゃべる。水は浅間神社であふれかえっている富士山の伏流水を使用。うまいコーヒー440円。たばこ3本吸う。ガラス窓の向こう、制服の女子高校生が通り過ぎる。「あ、娘が帰ってきました。今日が終業式」という。相模線も多くの制服の高校生が乗り降りしていた。このあとの御殿場線も同様。「ベル」へ寄れてよかった。いい時間だった。観光なんかしなくても、ぼくにはそれで十分。

「ベル」ママに推薦してもらった(いい感じの路地とかありませんかとリクエスト)、曲がりくねった路地の酒場街を歩く(神社近くの、かつて遊郭だったっぽい)。方角がわからなくなって、途中、2度、道を聞いたが、いずれも親切に教えてくれた。路上で自動車を修理していた男性へは、駅までの道を聞いたが、3度繰り返し教えてくれて、それでも不安なのか、少し一緒に歩いてついてきてくれた。背中に大きな富士。御殿場住民、好感度高し。

御殿場駅国府津行は40分待ち。松田から厚木へ、小田急線に乗ろうと思っていた。すると、沼津行がすぐ来ることがわかり、急遽沼津へ。まだ「平松書店」が残っているはずだ。沼津は光あふれるまぶしい街。大通りを港方面へ。大手町交差点を過ぎ、二つ目を右へ。黄色い幌の「平松書店」は健在だったが、「本日定休日」の張り紙が。むなしく30分の滞在で、すごすごと帰還。帰りは湘南新宿ライナーに大船で乗り換える。いや、早い、早い。東海道線の旅は、いかに湘ライを捕まえるかがカギだ。車中、ヒギンズ『鷲は舞い降りた 完全版』を。3分の2まで読み進む。頭のなかには、マイケル・ケインドナルド・サザーランドが。