10月刊行予定の木山捷平傑作集、ちくま文庫『駄目も目である』の解説にここ4,5日苦闘する。京都「善行堂」15周年のイベントで荒川洋治さんが、あんまりその作家のことが好きすぎると、書きにくいという趣旨のことをおっしゃって、激しくうなずいたのだが、今回、そういう羽目に。書いては削り、入れ替えて削除し、というドタバタを演じ、ずいぶん長くなってしまって、なんとか本日着地の「目」が見えてきた。もっとさらっと書きたかったが、沼にはまってしまった。まあ、いつもさらさらと書いているから、こういうことも必要なんだと。
和田まさ子さんから、某社経由で新詩集『途中の話』(思潮社)をいただく。いや、『私の好きな日』以来、ぼくは和田さんのファンですよと礼状を書く。『途中の話』にはあちこち東京の町が出てくる。日本橋、本郷菊坂、新宿、自由が丘、阿佐ヶ谷等々。お散歩詩集でもある。「西国分寺の暗いホーム」とあるが、じつは和田さんの居住区最寄り駅は私と同じ。週に数回は散歩するが、「増田書店」や「西友」ですれ違っているかもしれない。善行堂で出してもらった詩集『風来坊』を、本職の詩人に対し図々しいぞと思いながら同封する。