「スウィッチ」ようやく届き、あれこれ考える。

今日は「すこーれ」連載。井伏鱒二「屋根の上のサワン」について書く。

財布紛失で止めたカードの復活により、アマゾンにて注文ができるようになり(といっても1年に1回もしないが)、ようやく「スウィッチ」の「パーフェクトデイズ」特集号が届く。興味深く読む。ホームレスの田中泯が、平山の眼にしか映らない、という件りにやっぱりそうだよな、と思う。

姪のニコ(中野有紗)が、いくつぐらいの設定かわからなかったが、彼女の実年齢(2005年生まれ)からすれば高校生だ。叔父の平山とはずいぶん久しぶりで、小さい頃、フィルムカメラをプレゼントされたというから10年は会っていないか。つまり平山には、埋めがたい10年内外の空白がある。何かの事情で刑務所に入っていた、ということはないか。「素晴らしき世界」に引っ張られすぎの連想か。父親との確執の理由も気になる。

家出するとしたら、おじさんのところと決めていた、というニコのセリフも、平山に何らかの影響を与えているはずだ。

妹と再会、姪のニコとの別れ(二人との抱擁)で、初めて平山が感情をあらわにし、泣く。施設に入った父親には「会わない」と首を振った平山だが、最後の至福の泣き笑い顔から、あるいは次の発展があるかもしれない。多くを語らず、描かない映画だけに、いろいろなことが想像される。「パーフェクトデイズ」を語る会を開いて、みんなの意見を聞いてみたい。公式ガイドブックも早く入手せねば。

もうしばらく、熱を冷まさず、いろんなこと考えたい。

冷たい雨に閉じ込められて、たくさん仕事をする。

本日は冷たい雨のおかげで、完全に家に閉じ込められ、おかげで3本、原稿を書く。

「愛書狂」(白水社)は、『構造と力』『百年の孤独』など、大物の文庫化の話。

「高校教育」連載コラム「名言」は「パーフェクトデイズ」から「こんどはこんど、いまはいま」。

最後に400字6枚の「本の雑誌」(「古本屋になる!」)で、『古本屋台2』のトークイベントと古本屋台ドラマ化、リアル古本屋台の話など。

3本書いたら、集中力が切れ、さすがに頭の中が真白になる。明日の分もあわせ、イラスト2枚描く。こちらはいい息抜きとなる。1月に2冊本が出たごほうびに、1月、コンビニでオールドパーの小瓶を1000円強で買ったら、驚くほどうまいと書いたが、700ミリリットル瓶を検索したら5000円ぐらいするのな。小瓶でじゅうぶんだ。しかも瓶がかっこよく、捨てずに取ってある。

夜はおでんを作る。

録画したバス旅9(出雲から枕崎)を、CM飛ばしで楽しんでみる。もう3回目か4回目になるのだが。芳本美代子の好感度アップの回となる。3泊4日で、バス代は約2万5,000円、鉄道ではどうか。検索すると、こちらも特急、新幹線を使えばほぼ同額。ただし12時間半で、半日で着く。出雲市新山口鹿児島中央と乗り継ぎ、次はもう枕崎だ。新山口から鹿児島中央の新幹線が効いている。

2日連続のトークイベントで沈没

暦の上ではもう春なのにまだまだ寒い日が続く、と風の「暦の上では」で唄っている。

9日(土)は東京堂で『古本屋台2』トークイベント第二弾。久住兄弟に加え、実在する登場人物としてぼくと魚雷くん。古書店経由、「ぶらじる」でコーヒーを飲み会場へ。60名以上参加者あるか。一部の人は西荻「今野書店」へも来てくれた(久住兄弟の大ファン多し)というので、話がだぶらないよう、久住兄が画像を用意。また、途中、移動中の重松清さん(『古本屋台』1,2と登場)が30分ほど参加してくれて、熱弁をうるわれる。さすが、だ。(マンガの中で)「薩摩白波を飲ませてもらえないんだよ」とぼやくのかおかしかった。ぼくのこと「オカタケさん」「オカタケさん」と呼ぶので驚く。拓郎のことで一度取材し、文庫解説を書いてもらっただけなのだが。

サインにも長蛇の列。ぼくや魚雷くんがサインを入れるのは悪い気もするがせっせとこなす。この日は、知り合いも多く、「おお!」と挨拶。打ち上げで、焼酎一升が空く。

10日(日)は、北本「小声書房」で、今度は自分のトークイベント。埼玉の相棒・岩田和彦氏にお手伝いを願う。朝10時に本川越で岩田車にピックアップしてもらい、ファミレスで朝食兼昼食をしながら打ち合わせ。今回のイベント、遠隔地で集客が危ぶまれたが、なんとか11名、「オカタケさんぽ」の参加者など駆けつけてくれて、恰好がつく。みんな、よく来てくれたなあ。Hさんなど、茨城県から車で駆けつけてくれた。トークは誰も止められぬ岩田氏の「埼玉愛」炸裂となる。しかし、事前によく準備してくれ、ギターは2台、譜面台まで用意してくれた。感謝、である。ただ連日のイベントで、途中から疲れがピークとなる。最後のサインで、よく知る人の名前が出てこず、「名前、何だっけ?」なんて失礼をする。ぶじ、役目を果たしホッとする。

帰り路は遠く、4時過ぎに北本から電車に乗るが、大宮から川越線川越駅本川越駅まで行く道がわからず(どこにも表示がない、つまり矢印)、迷走し、本川越駅から鷹の台駅、帰宅したのが7時過ぎ。ボロボロだ。これほど疲れたのも、ちょっと最近では記憶にない。沈没寸前の西武線車内で、ずっと「はあ」とか「うーん」とかうなっていたら、隣りに座っていたご婦人が、あわてて席をほかへ移られた。ごめんなさい。

この日も「パーフェクトデイズ」の話をし、私の伝道により次々と信者を作りつつあるので、研究会を作りたいと思う。ロケ地巡りにあわせ、問題提起し(平山ははたして過去に家庭を持っているか)、疑問点や見どころを浅草駅地下のやきそば店で語り合いたい。公式ガイドブックが出ていることも、初めて知った。誰か、DVDを買ってくれれば、みんなでそれを見る。

 

そんなことを言いだせば、

www.shunyodo.co.jp

ここに「ふくらむ読書22」をふたたび貼り付けるのは、読み返すと事実誤認があったから。たとえば「60~70年代のロック」と書いたが、じっさいは「70~80年代」とするべきだろう。チューハイを1杯というのも、最後、テーブルに千円札と小銭を置くところを見ると、2杯は飲んでるかも。石川さゆりが女将に扮するバーでも、チューハイをお替りしている。そのあと、自転車で帰宅するのだが、細かいことを言えば飲酒運転となろうが、まあまあそこは。

そんなことを言いだせば、バイオレンス映画で次々と虫けらのように人が殺されていくのを見て「殺人は罪になりますよ、おやめなさい」と言うようなものだ。ちなみに、ぼくは臆病なので、次々と人が殺される人命軽視の映画は苦手です。

https://peatix.com/group/2977/events

10日の「小声書房」岡崎武志・岩田和彦のトーク&ライブイベント、集客が危ぶまれましたが、なんとか初期目標の10名の参加を得ました。正直、ほっとしました。あと数名、残席あります。まあ、楽しくにぎやかにやりましょう。歌もうたいますよ(それだけ余計と言わないように)。「パーフェクトデイズ」の話をしてしまいそうだなあ。終わったら大宮あたりで、有志で打ち上げしたいですね。終わるのが3時だから、ちょっと早すぎるか。天気もよさそう。

明日土曜日は東京堂『古本屋台2』イベントだ。次号「本の雑誌」「古本屋になりたい」連載は、ホットなネタを入手して、リアル古本屋台実現について書きます。ぼく、けっこうがんばっている。そう思いませんか? 白髪が増えるわけだよ。

ふくらむ読書22は「パーフェクトデイズ」、奇しくも。

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西部古書会館「book&A」展経由で吉祥寺。「パーフェクトデイズ」に感動した三人(亀戸から曳舟へロケ地巡りをした)で、一緒にもう一度、映画を見ようと「オデヲン」に集まった。一度見た映画をこんなにすぐ二度見するのは初めてからもしれない。

一度めはストーリーを追う(というほどのストーリーはないが)ことと、俳優の顔、姿を目にやきつけることが先決で、今度はもっとじっくり見ることができた。一度めより感動したし、時間も早く感じた。アパートや神社など、現地を訪ねたことは、映画に深く入り込むことができた気がする。「戎ビヤホール」(ここはいい店)で、平山が飲んでいたレモンハイを飲みながら映画のことを話す。「まだ、もう一回ぐらいは見られるよな」と意見が一致。シニア割引の三人は、いたく平山の境涯と生活が身に沁みてしまったのであった。

ぼくの意見。ホームレス(田中泯)は、一種彼岸的人物で、あえて言えば、平山の眼にしか映らない天使のような存在ではないか。音楽も一度めより集中して聞けて、70年代80年代のロックを聞きたくなる。

土日とイベント続き。やれることはやってしまおう。

大声で伝えたい、小声書房のイベント

3月10日埼玉県北本「小声書房」のトークイベントですが、ぼく、時間を間違え午後1時半としましたが、1時(13時)でした。13~15時予定。予約、お問合せ等、「小声書房」へどうぞ。参加者全員に粗品プレゼントつきです。たとえば、戦前らしき松島の絵葉書8枚組とか。手前の桶川「さいたま文学館」に立ち寄るコースがおすすめです。

kogoeshobo@gmail.com

昨日の昼はオムライス、今日は野菜肉入りカレーラーメンを作る。なるべく外食しないように、節約、節約。

あれ、財布がない!

あらら、2月は「小」の月でこれで終わりですか。「曇りガラスの窓を叩いて 君の時計を止めてみたい」は吉田拓郎「春だったね」でこの時期、自転車をこぎながらいつも歌っている。

27日は、散歩堂さん、それに元「毎日」のMさんと、『パーフェクトデイズ』にやられてしまったトリオで、映画ロケ地巡り。それがえらいことになりました。亀戸駅集合が、強風で電車が遅延し、散歩堂さんを待つあいだ、Mさんとチェーンカフェへ。散歩堂さんがぶじ合流。隣の大衆食堂でランチを食べて、支払う段になって、さあ財布がない。カフェへ戻り確認するが「なし」。駅前派出所へ届を出し、クレジット機能のついたカード二枚の停止など、墨を飲んだような気分になる。そんな重い荷を負わせてお二人にも申し訳ない。親身につきそってくださった。このまま一人、帰ろうかとも思う。

じつは現金がけっこう入っていて、派出所では「そんなに現金が入っていたら」出てこない可能性が高いなどと言われ、9割5分、あきらめる。失意のまま、「パ」の平山のアパートへ。これは映画そのまま(当たり前か)に感動する。どうやら、建物の解体前提でロケに借りたのではないか。人が住む気配はない。隣りの天祖神社(朝、道路をほうきで掃く音で平山は目覚める)へお参り。ぼくひとりおみくじを引くと、「小吉」で、「失せもの」の欄に「人に問えば、出る」とある。9割5分諦めていたのが、7割ぐらいに減る。コインランドリーはもと「さくら湯」で平山はここで洗濯、その近くの自販機で、平山が毎朝飲む「BOSS」缶コーヒーを買う。肉屋で100円のコロッケと、60台トリオが調子こいて下町さんぽ。これで桜橋を渡り、浅草「地球堂」で古本、地下の「やきそば屋」で締めたら「パーフェクトデイ」となる。

たばこと塩の博物館」へも行きたかった。「たばこ屋」展を開催中。ここで妻とのメールのやりとりに進展。自宅に連絡あり、ぶじカフェで保管されているとのこと。歓喜の三人。天祖神社の御利益か。あとで細かく検証すると、じつは早くに財布は見つかっていたみたい。携帯に電話をくれたが、ずっと銀行その他と「停止」の折衝をしていてつながらず、自宅へ電話してくれたみたい。カフェの店員に名刺を渡しておいてよかったのである。あとでカードの「停止」解除で、また大変な手間となるのだが、いやいやカフェには感謝しかない。「プロント」さんだ。

三人に告げると、無音の拍手で喜んでくれる。いや、心配かけて申し訳なかった。いえいえ、よかったですと、残りのスケジュールをキャンセルし、はやる心で亀戸駅へ帰還。ぶじ財布を手にする。いつ、どうして手から離れ、どんな形で見つかったか不明。スイカ機能のついたカードも停止したので、この日、移動はすべて現金。これがどんなに面倒か(財布がないので、いちいちポケットの小銭をじゃらじゃら)わかる。ぼくはスマホの機能を始め、便利主義に背を向ける者だが、この交通運賃のカード決済は、ちょっと手放せそうにない。

よかった、よかったと阪神日本一祝賀のように三人で高円寺へ移動。「まぐろ屋」でまず乾杯(若者がうるさい)、数年ぶりに「コクテイル」へ。映画監督の越川さんが来店し挨拶。それに京都で古本屋を始めるという和服の若者(22才!)を狩野さんに紹介してもらう。散歩堂さんのお誘いで「ちんとんしゃん」とはしご。現金が戻ったので気が大きくなる。「ちんとんしゃん」の女将のりこさんに財布の一件を話すと、「岡崎さんの人徳ですよ」とうれしいことを言って下さる。ぼくに「人徳」があるなら、本当にそれにすがって生きてきたのだね。結果オーライの長い一日だった。木山捷平なら、このこと、うまく小説に仕立てるだろうな。

『パーフェクトデイズ』トリオはその後、「スィッチ」の特集号を入手。熱はまだまだ冷めていない。次は渋谷区の美しいトイレ巡りか。「人に問えば、出る」と励ましてくれた、亀戸天祖神社へはお礼参りにいかないと。