開高健、寿命を予言

NHKプレミアムで2011年放送の再放送を見る。開高健がアラスカへオヒョウを釣りに行った(『オーパオーパ‼』アラスカ編)時、同行した料理人が30年ぶりに同地を訪れる。そこで開高の文章が断片的に紹介されて、30年ぶりぐらいに『オーパオーパ‼』を開く。大判はとっくに処分し、文庫版。この文章を書いた時、開高は50代初めぐらいか。仕事場にこもり、原稿用紙をにらむ「極端な運動不足」の日々を憐れむ文章がある。そこに「だから、たいてい、日本人の平均寿命より十歳か十五歳手前ではかなくなり、古女房と灰皿を残して小説家は消えていく」と書いている。

開高は1989年12月9日、59歳の誕生日を目前に58歳で死去。この年の日本人男性の平均寿命は75・91歳。76から15引けば61だから、自分の寿命を予言したように読める。