海を渡った神仏

「ちくま」最新号巻末出版広告、「ちくま文庫」のページで『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』が、川上未映子『水瓶』と並ぶ大きな扱い。同号には、同著について京都善行堂・山本善行が一文を寄せてくれている。刮目して入手ください。

季刊「白水社の本棚」連載「愛書狂」の締め切り。以前は匿名(「野」)によるもので、おおっぴらに書けなかった。その締め切り、「股旅堂古書目録」と大正16年個人の自筆日記について書く。

BSプレミアム再放送で「海を渡った 600体の神仏」を見る。明治9年に来日したフランスの実業家、エミール・ギメが、廃仏毀釈で日本から消えようとする神仏を購入し、フランスへ持ち帰った。いま、美術館になって展示されている。同様に、ギメより少し前、アンリ・チェルヌスキも日中の仏像や美術品をフランスへ持ち帰って、生き延びることができた。どうせ壊され、捨てられる仏像は当時、二束三文だった由。ギメの日本滞在記は、角川ソフィア文庫に『明治日本散策 東京・日光』として和訳収録されている。かつては講談社学術文庫の包括するエリアが、角川ソフィア文庫に流れている。

また中旬ころから締め切りが集中。つかのまの憩いだ。「青春18」を使って、塩尻、中津川、名古屋から亀山(関西本線)、柘植(草津線)を経由して京都入りというルートを設定。11時間半かかる。やってみたいが、できるだろうか。中央本線が長尺となるが、すべて山の中であり、車窓の風景は飽きないはずだ。