シュークリームと尖端文學

白水社の本棚」の「愛書狂」、「本の雑誌岡崎武志古本屋になる第五回はメルカリとの格闘の続き、を書いて送付。西部「書心会」展初日へは行けず。

4月の「本を旅するVia」の準備。「詩と詩人」を新作として描きつづけている。古本の準備も。

知人から2冊受贈書。内田百けん『シュークリーム』は灯光舎「本のともしび」シリーズ第一期五冊目。編と解説は山本「善行堂」善行。百けんの本については、相当数出ているが、こうして小品を集め直すと、また別の味わい。表題作については存在を知らなかったが、明治期に食べたシュークリームの思い出を祖母に重ねて味わい深い出来。まさに随筆の王様である。これを総タイトルにしたのもよかった。この小ぶり仕立ての美しい本によく似合っている。第二期の人選と作品の並べ方にも期待あり。

古本での相棒となる小山力也が、古本屋ツアー・イン・ジャパンの通り名をはずして編著として出したのがちくま文庫、『疾走! 日本尖端文學撰集』。「先端」ではなく「尖端」という言葉が、まさしく大正末期から昭和初期の「とんがった」文学に使われ、エロも含め「尖端的」と流行語になった。新感覚派も新興芸術派もプロレタリアも探偵小説も呉越同舟で、時代の空気を作ったのだが、編者はその空気をよく拾ってユニークなアンソロジーとなった。山下三郎、岡田三郎、石野重造などは、こういう仕立てでないとまず読むことがない。いい仕事をしました、小山さん。