玉川奈々福さん「亀の子寄席」と「茅ヶ崎館」

23日、秋分の日。午前から動き出し、相模線に揺られて茅ヶ崎へ。ライター金丸裕子さんの生家横に義兄がやられている空手道場があり、そこでこの日、浪曲玉川奈々福さんの会があった。誘われて初見参。散歩堂、脳天松家両氏が同道して小雨のなか会場へ。浪曲は寄席の出し物の一つとして、あるいは「宮川左近ショー」やテレビ演芸番組でいちおう体に入っているが、生の公演は初めて。

会場は80席はあるか、満杯であった。応援団がいて、地方でもどこでも駆けつけるという。この日も20名くらい、茅ヶ崎に宿をとっての鑑賞。すごいなあ、人気が。奈々福さんの浪曲について寸評するだけの用意がない。ただ、圧倒的な発声と現代を盛り込んだ演出とアレンジに、浪曲という芸能を、いまの人に届けようとする努力と迫力を感じた。「空手バカ!アラブ風雲録 岡本秀樹一代記!」は新作、古典の「仙台の鬼夫婦」の二席を「たっぷり」。

この夜、「茅ヶ崎館」に投宿する奈々福応援団と一緒に、あの小津安二郎定宿の「茅ヶ崎館」へ。四人部屋を少人数の打ち上げ会場にして、男性たちと飲む。首領は散歩堂さんだ。長年、ああ「茅ヶ崎館」と思い続けたその場所で、飲む喜びをじっくりかみしめる。ビール、ハイボール、焼酎「ダバダ」にほどけていって、一瞬、内緒で4人部屋の布団と布団の間にもぐりこんで泊まろうと思うが、気を持ち直して雨のなか深夜に最後はタクシーで帰還する。地味なぼくとしては盛りだくさんの一日。ちょいと疲れました。