そうして歴史は改変されていく

珍しく、いい子で、集中して仕事をしていた。三冊分のゲラを抱え、「ふくらむ読書」9と10を送付。「望星」の巻頭エッセイもあと少し。光文社知恵の森文庫の『人生の腕前』のカバー案と依頼した解説も上がってきた。解説はあっと驚く人です。しかし、読ませてもらうとこれはいい人選だった。盛林堂書房から秋予定発売の『昨日も今日も古本さんぽ』は400ページ超え。いちおう全部見てチェックを入れ、絵地図を描き足す。校正に迷惑かけないよう、もう一度見るつもり。9月は2本、レギュラーの講座もあってその準備も。

ホームゲームの阪神戦は安心してみてられる。「X年後の証言たち」再放送、1985年の阪神タイガース優勝をまた見てしまう。父親にたたきこまれた阪神ファンの千秋、掛布、そして「デイリースポーツ」当時の虎番記者など。千秋が何百回と見たという、バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発が、じつは掛布だけ、バックスクリーン横の客席だったことは有名。「ファンがバックスクリーンに寄せてくれたんです」(掛布)、「そうして歴史は改変されていくんですね」(カズ)、「(それで)いいんです」(千秋)。

ぼくはあの時、赴任した高校の修学旅行にくっついて壱岐の島にいた。民宿(生徒は雑魚寝)でみんなテレビで見ていた。引き分けでも優勝と知らず、中西が最後の打者をうちとって、ぼくはチラリとみて、「なんや引き分けか」と思ってテレビを離れたら、すごい声で生徒たちが騒いでいる。それが優勝の瞬間だったのだ。その前後、大阪の街は街全体がうなりをあげて盛り上がり、異常な空気で無防備都市と化していた。

今日あたり、窓から吹き込む風に涼味あり。夜は秋の虫が鳴いている。目にはさやかに見えねども、であろうか。「ハイジ」再放送でクララが立つところを見て、おいおい泣き、がんばろうと思う。