雪の柴又、男たちの旅路

昨日、「新潮講座」柴又を歩くの本番。苦手な常磐線とか京成線、乗り継ぎに迷いながら、どうにか到着。冷たい雨、寒い。これがやがて霙に、そして大粒の雪となる。担当のМさんに挨拶、「キャンセルが続いて、結局参加者は4人です」と告げられる。いや、新型コロナに、逆戻りの真冬に、この雨でよく4人も来てくれるもんだと感謝する。ぼくなら行かない。

閑散とした帝釈天通りを、帝釈天、山本邸、寅さん記念館、山田洋次ミュージアムと少人数でめぐる。パスしようと思った山本邸だが、日本家屋の豪邸で、庭がすばらしい。畳の大広間に寝転がって、庭の木々や池に降り注ぐ大粒の雪を見ていると、いやあ、この日でなければ見られなかった光景だ、と思う。こんな日こそ、雪見と洒落こもうじゃないかという「茶人」の心境である。一句浮べば、なおよかった。

下見で計画しておいたのは、記念館のあと江戸川に出て、矢切の渡しで対岸へ、野菊の墓案内所に立ち寄り、金町まで堤を歩き、「書肆 久遠」で古本買って、金町で打ち上げと思っていたが、後半すべてパス。二時間ぐらいの行程で切り上げ、柴又駅へ。女性一人が帰り、男五人組で駅近くの「春」という居酒屋へ入る。かつて散歩番組で紹介されていた店だと、壁に貼られたたくさんの「寅さん」出演者との写真で分かる。ここでワイワイとよもやま話をして、「もう一軒」となり、五人の男たちの旅路が続く。鶯谷の大衆食堂でありながら呑兵衛の聖域「信濃路」で二次会。いやあ、ここはコロナ関係なしで、にぎわってるわ。

最寄り駅までなんとか帰還し、凍えそうな駅頭のバス停で、来ないバスをえんえん30分以上待つことに(どうも、間引かれたのか、もう一本早く来るはずのが来なかった)。よほど、乗ったバスの運転手に抗議しようと思ったが自重。

次回の「新潮講座」は6月13日(土)、武蔵小金井駅集合で、「大岡昇平『武蔵野夫人』~「はけ」の道をゆく」。こちらは近い、自転車でも行けそうだ。でも打ち上げで飲むからなあ、自重。