「食」は100点満点の旅

「大人の休日」を使って、27日が仙台、28日が秋田県湯沢、昨日29日が長野、上田と旅してきた。今日、あと1回残っているのだが、サンデーの締め切りがあってパス。それでも7万5000円分は乗ったと思う。もう十分だ。

湯沢へ行ったのは、菅首相の故郷(いたるところに「祝」の看板や幟が!)ということではなく、以前古書展で買った、昭和12年の個人のアルバムが、細かな情報から総合すると「秋田県湯沢」の人のものだと分かったから。これをもって現地で確かめようと思ったのだ。駅について、観光案内所に入るとガイドの老齢な男性がいて、これこれこうとアルバムを見せると大興奮されて、一挙、いろんな謎が解決。これは古本屋がらみではないので、春陽堂「オカタケな日々」でくわしく書く。

長野は古本屋めぐり、上田は前には行けなかった旧北国街道を映画「犬神家の一族」ロケ地ということで歩く。岡崎酒造という蔵元があって、ここへも立ち寄る。古本カフェ「コトバヤ」へも寄れたので、これは「古通」に。

湯沢では食べるところがなく、偶然見つけた「長寿軒」に入ったら、通りに人はいないのにここは満席に近い繁盛ぶり。ラーメン一種(ラーメンとラーメン大がメニュー)という単品のみのラーメン屋(味噌もチャーシューもタンメンもなく、ギョーザやチャーハンなども一切ない)で、さすがにうまかった。汁が少し地震が来るとこぼれそうなほどなみなみと鉢を埋める。汁は3分の1ぐらいしか飲めなかった。持ち帰りたかった(あとで検索したら、ラーメン野郎が目指して来る店だった)。

長野では検索したら「古本」と「とんかつ」という異色店「成徳屋」(普通の古民家で一階が古本、二階がカフェ飲食)を見つけ、これを目指す。路地のまた裏側の通りに猫がねそべるひだまりの店で、ここのとんかつ定食1500円が、なんというか感動的な品だった。詳述する元気がないが、店主が客に、豚ロースの塊を見せて「どこの部分をお切りしましょうか」とまず聞く。それから4,5センチはあろうかというロース肉を、たぶん低温でじっくり揚げる(時間はかかります)。出てきたとんかつは芸術品で、ドバドバソースはなく、小さな入れ物に少し特製たれが入っている。あとは塩で肉本来の味を食す。薄い肉を使ったとんかつの3倍はあるか。味噌汁、ごはんがお替り自由で、冷奴と小鉢がつく。新しいとんかつの地平が広がった。若い男性2人、あとでインスタ映えっぽいカップルが一組入ってきた。古本を一冊買う。

今回の旅で「食」は100点満点。いつも立ち食いソバや全国チェーンの中華や牛丼で済ませたりするぼくとしてはよくやった。さすがに疲れました。