高円寺茶房にて

10日、高円寺茶房で「本の雑誌」前田くん、装幀デザインの真田(真治)くんと打ち合わせ。その前に木曜から四日連続の「西部」愛好会を覗く。文庫、新書判の小さい本ばかり4冊。かさばらなくていい。クロークの志賀くん(もと音羽館店員、独立してネット古書店経営)にあることで相談したくて連絡先を聞く。

打ち合わせ、真田君とは本当にひさしぶり。50歳になったという。雪岱研究の第一人者。即売会は神田を主戦場とし、高円寺へは来ないらしい。いつもニコニコとしている。感じよし。本題に入る前、もっぱらあふれんばかりの古本話。大阪芸術大学へ週一で非常勤として教えに行っているとのこと。毎週、大阪へ行けるのはいいなあ。

三益愛子の当たり狂言の映画化「がめつい奴」(千葉泰樹監督)を見る。どえらい面白さ。悪人しか出てこないピカレスク群衆コメディ。出てくる人物、全員が愛すべき悪人で、釜ヶ崎のドヤに巣くう。自動車事故、と聞くとすわ駆けつけ、たちまち事故車をスクラップに分解し、鉄くず屋の競売にかける。まあ悪人といっても生きる知恵としての悪事でありユーモラス。森雅之が汚れ役というのも珍しい(大阪弁は変)。お鹿ばあさんに育てられる精薄の孤児が舞台と同じ中山千夏で、天使の役目を果たす。高島忠夫が舞台に引き続き、はつらつとした役どころ。森繁久彌も「らしい」出演(舞台では榎本健一)。宿賃が一泊30円。昭和30年ぐらいの設定か、となると300円(では安すぎるか)。