寝ることはエンタメだと津村記久子は言った。

締め切りが集中する月半ばをなんとか通過。ほっとする。根岸さんが所属する俳句の団体「澤」の句誌最新号が届く。なかで根岸さんが『憧れの住む東京へ』を見開き2ページで詳細に書評してくれている。ありがたい。礼状を書く。

ひさしぶりに立川栄「ブ」へ。ビームセドリ師3名が、夏の蝉が木に張り付くように棚に張り付いている。一時期、減退したと思われたが復活か。かごをひょいと覗くが、ぼくが関心を持つような本はなさそう。どんどんセドッてくれ。コルトレーンの5枚組を買う。アルバム5枚分をそのままセットした企画もの。うち2枚は持っているが、まあこの際いいだろう。

急に思い立って『ボブ・ディラン全詩集』晶文社1974を借りてくる。原文と翻訳2冊セットだが、翻訳の巻のみ。かつて所持していたが、手放したのだった。今は入手困難な本の一つ。見ないなあ、古本屋でも。

「朝日」夕刊で、交替で掲載されるコラムの津村記久子の回が、とびぬけて、ばつぐんに面白い。「『寝る』のエンタメ」は「寝る」ことをエンターテインメントコンテンツとして称揚する。「もはや寝ることには起きていることより内容があるとすら思う」とまで書く。おもしろいなあ。発想と視点がつねに新しく、それを達意の文章で仕上げる。ほとんど武田百合子の域に達しているのではないか。さっそく切り取る。

前を通りかかっても閉まっていること多い、小平「みどり文庫」さんが開いていて立ち寄る。ご主人と話す。「先生、体が大きくなりましたね」「いや、太っただけです」。もう開店して15年にもなるのか。3年前に奥様を亡くされたという。いろんなお客さんが来て、思いがけない話があって、それで店を開けていると。