ペリカンブックス、イーヴリン・ウォー『大転落』

月曜日、本当にひさしぶりの原稿依頼があった「日刊ゲンダイ」の読書日記を書いて送付。「古書通信」も書きかけを完成させて送る。復活一箱古本市、秋津「らんだむ」、西所沢「SAVE AREA」で販売されている古本コーナーについて書く。

キリン杯、日本はチュニジアにみっともない負け方をする。あ~あと声が出る。三苫が後半から入ると、便秘が解消されたように流れ出す。「ナイト・イン・チュニジア」でも聴こうか。

じつは、ともったいぶることはないが、「ヴェラ」に続き、「刑事フォイル」を全話、再視聴中。まったくよく飽きないなあ。今夜はシーズン7の3話「反逆者の沈黙」。戦後復興のなか、戦中ナチスに加担したとしてデベローという若者が反逆罪で牢に。なぜか沈黙を通し、このままでは死刑は確実……という記事を新聞で読んだフォイルは、刑事をサバサバとして辞め、渡米目前の身でありながら、なぜかこの若者を救うべく熱心に捜査を始める。もちろん無報酬。その理由は最後に明かされる。なんと若き日のロマンス!

このデベローに扮した役者に見覚えがある。すぐに「シャーロック」のモリアーティ役の俳優アンドリュー・スコットとわかる。酷薄そうな独特なフェイス。フォイルが面会しても殻を閉じたように心を閉ざすデベロー。ではなぜ面会に応じたのかと問うと、独房から出たかったから。そして本も読めない生活(に退屈した)という。次の面会でも態度は変わらないが、フォイルが2冊のペーパーバックを差し入れる。1冊はイーヴリン・ウォーの『DECLINE AND FALL  大転落』(岩波文庫に邦訳あり)。ペリカンブックスだ。ちょっと端が撚れている。デベローは「好きな作家だ」と言うと、フォイルも「私も」と答える。本が登場すると、なぜかみんな名シーンみたいに見える。

上野をさまよって奥羽を透視する

午前中に『狂伝 佐藤泰志ー無垢と修羅』書評を書き上げ送付。400字1500枚の本を2枚強の分量で紹介するのだから、うーん手こずりました。言いたいことはいろいろあったのだが、最低限の紹介はさせてもらったつもり。

力を出し切り、午後高円寺。「好書会」館内を2巡し、数冊を買う。詩を読みたくなって飯島耕一『上野をさまよって奥羽を透視する』集英社を買う。1980年代、集英社からたくさん現代詩の詩集が出ていた。

帰り、国分寺下車。「七七舎」へ。メシアンのCDと、昭和12年に非凡閣から出た室生犀星全集別巻の布張り本体の裸本ほかを。いや、本好きなら、見れば誰でも欲しくなりますって。庭についての文章、禽獣虫魚の随筆を集める、いい巻だ。昭和11年から12年ごろの本は、本文用紙の紙質がよく、ほとんど劣化がない。いくつか証拠を持っている。これは丸谷才一が指摘した。

移動の電車では山本健吉編著『句歌歳時記 夏』新潮文庫を読む。山本健吉の短い解説は的確。「遮断機の今上りたり町薄着 高浜虚子」は「如何にも軽やかな句の仕立てだ。句柄そのものが、町中の初夏にふさわしい」と必要にして十分。いいと思った句歌には頭に鉛筆で丸印を打つ。

 

スターリングは内海敏彦の声がぴったり

書評依頼のあった600ページ超えの大著、中澤雄大『狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅』中央公論新社を1週間かけて、ようやく読み終える。佐藤泰志の住所遍歴が記してあって、国分寺市内で転々としているのだが、最後の住処と一つ前が日吉町。地図で確認し、自転車で現状を確かめに行く。もう30年以上だし、痕跡も残っていなかったが、現地に立ててよかった。しかし、これを書評するのは大変だぞ、とも思う。私の名前も一か所出てきて、そうだ、ずいぶん前に取材を受けたんだと思い出す。

リュック・ベッソン最初の長編『最後の戦い』を見る。最終戦争後、生き残った者たちのサバイバルをモノクロで撮影。しかも、「核」の後遺症だろうか、声帯が壊れ、みな言葉を発しない。異色の映画となった。

キッズステーション」で、「ラスカル」を2回分ずつ放送していることに気づき、あわてて初回から追いかける。そうか、そうしてスターリングはラスカルと出会ったのか。子どもを主人公にしたアニメは、たいてい大人の、ベテランの声優が吹き替えするのだが、「ラスカル」では、スターリングと実年齢に近い内海敏彦が声を担当。これがいい。微妙な心の揺れなど、内海のボーイソプラノ以外には考えられないはまり役である。内海は変声期を迎え、引退したようだが、それも潔い。

阪神、2戦ゼロ封が続き、ありゃりゃ、また元に戻っちゃったかとあきらめかけたが、青柳が投げ、大山が打ち、勝った。近本がかなり調子がよく、楽しみだ。

オカタケ散歩7月は都バス乗り継ぎで西新井へ

オカタケ散歩【夏】 都バスを乗り継いで、西新井へ!
みなさま、お元気ですか。春の「オカタケ散歩」(5 月7日)は、14 人のご参加
でした。今回は、暑いので冷房の効いた都バスを乗りつぐ、新タイプの散歩です。
【集合】 7 月 30 日(土)14:00 東京駅丸の内側、北口 6 番乗り場(丸善のあるオアゾ前)
※14:24 発に乗車予定。
【参加費】 1 人 2,000 円(資料代、講師謝礼など)。当日、徴収します。
※都バス 1 日乗車券(500 円)、あらかわ遊園入場料(800円 65歳以上は400円)などは別途。
【予定コース】
① 「東 43:荒川土手行き」で東京駅をスタート。
② 大手町、駿河台下、お茶の水本郷通りなどを経て「西尾久三」で下車。3 月に入れなかった「あらかわ遊園」で観覧車に(堀江敏幸『いつか王子駅で』)。
③ ふたたび「東 43」で「荒川土手」へ。しばらく風に吹かれましょう(荒川土手は映画『下町の太陽』舞台)。
④ ふたたび「東 43」か「王 40」で「西新井大師前」へ。立派なお大師さまでご利益を。ビートたけしは近くの島根町(「梅島」駅界隈)に生まれました(ビートたけしたけしくん、ハイ!』)。なお、梅島は、髙村薫『マークスの山』で都立大の住宅街で発見される元ヤクザの女のアパートの所在地。
⑤ お大師さま近くの中郷公園で「読書する少女像」を見学。
大師前駅から「大師線」にぜひとも乗車~たったひと駅、東武伊勢崎線「西新井」駅がゴール。有志で古本屋「高田書店」へ。駅反対側の純喫茶へ(しびれる空間)でお茶も可。17 時ころ、2 次解散。懇親会へ。
【都バス 1 日乗車券:500 円】
バス乗車時にも買えますが、多人数だとほかの乗客に迷惑なので、なるべく事前にご購入下さい。「磁気券」と、「Suica」or「Pasmo」への発行(500 円減額)の 2 種類あります。東京駅丸の内南口ターミナル内、都バス発売所で買えます。
◆よほどの豪雨荒天でないかぎり、決行します。
◆最小催行人員:5 名 ※5名に達しなかった場合のみ、前日に中止の連絡をします。
◆申込先:森重良太(新潮社)
morisige@shinchosha.co.jp 

土砂降りのずぶ濡れ

昨日、午前には晴れていた。ただ、自転車に乗って腕にあたる風が涼しい。不穏な大気。ちりちりと静電気が起きそうな。「ダイソー」で買い物をして、袋詰めをしていたら雷が鳴って、土砂降りの豪雨だ。雨粒がはっきり見える。しばらく待って、勢いが衰えるのを待ったがダメで、あきらめて雨の中へ飛び出す。下着までずぶ濡れとなる。家に戻って着替えをしていたら、雨は止んだ。

阪神、対北海道日ハム戦。3回で1対7と目も当てられぬ惨状となり、テレビを消す。真の阪神ファンとは呼べない。NHKFMを聞きながら、あれこれ読書して、ずいぶんたってテレビをつけたら、2点差まで追い上げている。おおっ、と集中。大山が3本のホームラン。そのうち2本を見逃したことになる。大いに反省。奇手果敢な新庄劇場も見られたし、勝てたからというのもあるがいい試合であった。

BSテレ東飯尾和樹のずん喫茶」を欠かさず視聴。ロケ芸人の本領発揮。純喫茶探訪に出かけたくなる。

オカタケな日々80が更新されました。

https://www.shunyodo.co.jp/blog/2022/

www.shunyodo.co.jp

オカタケな日々80が更新された。毎月2回分、同じ締め切り日に原稿を送り、ちゃんと紙のゲラ(校正あり)が郵送され、手を入れて返送する。それがこうしてアップされるのが1カ月後。一緒に送った2回分の後の方はさらに半月後の公開となる。

つまり、公開されたのを自分で読んで、そうか、こんなことを書いたかと思うのである。自分でもちょっと新鮮。写真を撮って、イラストを描いて、だからよくやっているよと自分でも感心する。誰も感心してくれないから、せめて自分で感心する。

「ラスカル」は、スペイン風邪の流行があって(学校は休校、みなマスク)、スターリングの父親が経営する農場2つが台風被害に遭って……と佳境に入る。スターリングは酪農をする叔父一家の家に預けられる。夜は早く寝て、朝4時から300頭の牛の乳しぼり。それを叔父と三人の息子がする。朝まだ酪舎は暗く、前夜、母親が男たちが床に入った後、ランプのほや磨きをする。朝は食事の支度をするから、「いちばん遅く寝て、いちばん早く起きるんですね。大変だなあ」とスターリング。男たちは働いているんだからこれが当たり前、みたいなことを言うが、今ならジェンダー論者がクレームがつくかもしれない(新聞記事や4コマ漫画にすぐクレームが来る、と最近聞いた)。母親を失ったスターリングは、一家総出で働く叔父や叔母、従弟たちから多くを学ぶのだ。そしてまもなく、親友ラスカルとの別れがやってくる。こんないい番組。小学校で毎週、生徒たちに見せてほしい。

心弾まぬ日に灯りが点る

今日から6月。昨日は昼、国立へ。ちょうどその日、「じゅん散歩」(久々に見た)が国立。東京女子体育大で悪ふざけ、と快調。その国立駅前を歩くと、大学通り左、次々と店が入れ替わっているのに驚く。すべて飲食。

「みちくさ」で昭和30年代の、写真と組み合わせた『武蔵野』を500円で。イタリアン「文流」で「赤旗」文学館へ行こう担当のHさんと待ち合わせ会食。提案した地方出張企画が通り、東北へ1泊2日で連載2回分、寺山修司太宰治「斜陽館」へ行けることになった。心弾まぬ日々に灯りが点る。

進行がイレギュラーとなり、月曜に書いた「サンデー毎日」が1日措いてもう締め切り。うーん、とさすがにうなる。春陽堂ウェブ連載「オカタケな日々」81と82、原稿と写真を送付。先日の茗荷谷から小石川への江戸さんぽ(「猫ビル」がゴール)についてたっぷり書く。果てしなきゼロ行進を更新する阪神の試合を見るのが苦しい(以下、10行抹消)。