冬の日曜日、快晴である。いろいろ準備をして外出。神保町へ。出版クラブ会館で、JPICの読書アドバイザー講座があり登壇する。永江朗さんを校長とする体制になってから、もう12年とか13年になるようだが、私も毎年講師として参加して、古本や読書の話をしている。日本全国から100名もの聴講者がある。いずれも本好きの人が聴講するわけで、何かを学び取って帰ろうと顔を輝かせて席にいるわけで、登壇者はたいへんやりやすい。

古本については、もうこれまでさんざん喋ってきて、準備なしでも持ち時間(1時間20分)をこなせるが、自分の方が、もう多少飽きているところがあり、毎年どこか新味を作って準備することにしている。この日は、読書は必要か、国語教育から文学と実用文が選択になる、などの話題を盛り込む。いつもそうするとおり、プロジェクターを使っての、持参したさまざまな古本を投影してコメントもする。これがいちばんウケるようだ。終わってその場で、事前に送った箱で一箱古本市を開く。これがまたバカスカとよく売れる。売りながら言葉を交わすところは寅さんふう。

終わって控室で昼食。「今半」の弁当(検索して調べたら「花月」2160円)を食す。うまい。また、用意してもらった私の本へのサイン入れも、いつもながら相当数。こんなに本が売れる場面はほかではありえない。それにJPICさん常備のための『読書の腕前』100数十冊にもサイン、イラスト、落款を入れる。2時間はかかったか。頭の中が真っ白になる。サイン終えたころ、校長の永江朗さんが控室に入室。ここでも坪内さんの話。永江さん、これから少し仕事を減らしたいと言っていた。減らしたいというほど忙しくあるということだ。聞くと、慶応でも授業をもっているというし、ラジオ深夜便への出演その他、なるほどこれは多忙だ。

もう少し早く終わって、「みちくさ市」へ行くつもりだったが、時間がもうなくておとなしく帰る。帰りの車中で、渡辺達也+フィルムアート社編『映画を撮った35の言葉たち』を読む。得地直美のイラスト。いつも思うのだが、リュミエールの「ラ・シオタ駅への列車の到着」(1896)というタイトルが素晴らしい。今日は酒飲んで、もう寝ます。はい。