『赤頭巾ちゃん気をつけて』を気をつけて読む

「うって変って暖かい一日。「サンデー毎日」原稿を書いて送る。柴田哲孝『野守虫』、山田稔山田稔自選集Ⅱ』などを取り上げる。山田稔の書評はちょっと力が入りすぎ。いったん休ませて、「まあ、まあ落ち着いてやろうやおまへんか」と自分に声をかけ、整える。山田さんの目にひょっとして触れるかと思うと、緊張する。しかし、その緊張は悪いことではない、とも思う。

新ウェブサイト連載の、これで本当にうまくいくか、パイロット版の原稿10枚に着手。庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』について書くことにして準備、書きだす。読書による自分史、というようなテーマになりそう。庄司薫論や、庄司薫評伝が、たとえば村上春樹に比して、少なすぎることに驚く。あれだけ売れて、影響力があったのに、なかったことにしようというのか。ほとんど義憤にかられる。

さいきん、音楽を聴きながら原稿を書くという習慣がなくなってしまった。なぜだろう。前は、ほとんど必ずといっていいほど、ジャズなどCDをかけながら原稿を書いていた。このところ、それが集中力を殺ぐ。聴力も少し衰えて、何も音がないほうが、集中するにはいい環境になっている。椅子生活100パーセント生活になって、床にあぐらをかいて長時間座ることもできなくなった。本気で、近くで運営しているラジオ体操に参加しようかと思う。膝の運動、屈伸が必要だ。情けないが仕方ない。

「ますく堂」が関西(大阪か神戸か)へ、この春、拠点を移すという。私は賛成。もともと西の人である。知り合いも多い。生活費確保の働き口さえ決まれば、意外にうまくいきそうな気もする。増田さん、応援してますよ、本当に。

川西正明『新・日本文壇史』(岩波書店)を、ずっと読んでいる。伊藤整日本文壇史』と、それを継いだ瀬沼茂樹の仕事を継ぐもの。その「伊藤整」の章まで来た。女に苦労している。左足切断した夭折の女流作家・素木しづの処女作「松葉杖をつく女」は、春陽堂「新小説」に掲載。いままた、春陽堂ウェブマガジンとして「新小説」を再創刊。私もかかわっている。小田光雄さんとの対談は、3回分載。これは無料ではなく、有料登録が必要。