パンパンと夏埃はたく古書店主

初夏の木々を濡らす雨である。この雨は山にも川にも降る。そして都市を濡らす。

昨日、「サンデー」の締め切りと本選びで編集部へ向かう日が重なり(担当者の出社日が限られていてそうなる)、朝早起きして原稿を書いて送り、九段下を目指す。

1週が5冊、3週分を少し余裕をもたせて余分に20冊を選ぶ。これが宅急便で送られてくる方式だ。出版部の宮里くん、エコノミスト編集部に詰めている北条くんと言葉を交わす。

帰り、古本を見たくなって荻窪下車。「古書ワルツ」へ。詩集2冊、「現代詩手帖」がたくさん均一に出ていて、「西脇順三郎を読み直す」特集号を買う。ちょうど尾崎澄子さんが本を売りに来ていて、一緒にお茶することに。一時期、澄ちゃん、異常にやせて目もうつろで心配していた時期があったが、今は恢復し、ふっくらとして元のよく知る澄ちゃんになった。よかった、よかった。あれこれ情報交換と近況報告をして「竹中書店」へ寄る。ご店主がいて、本棚の向こうでパン、パンと音をさせている。これは本をぶつけあって、埃をはたくやり方で、昔、大阪や京都の古本屋でよく聞いた音。いまの30代、40代の若い店主はこんなことはしない。しかし、オールド客の私などには懐かしい音。