デイヴィッド・ハンドラーはいいぞ。

ジョン・アップダイクケンタウルス』(白水社)を読みながら、アップダイクを少しずつ買いなおしている。角川と新潮文庫で、けっこう持っていたが読まないままに処分してしまった。アメリカ文学の中のアップダイクの位置の大きさは計り知れず、あえていえば日本の大江健三郎みたいなものか(ぜんぜん違うよ、といううるさ型の声は無視する)。国分寺「春風」で『結婚しようよ』、オープンした「古書ワルツ荻窪」で『もう一つのドア』角川文庫を買う。どっちも持ってたがなあ。角川文庫は20ページ以上の解説に年譜がついて便利。

あいかわず本はよく読んでいて、デイヴィッド・ハンドラー『猫と針金』、マイクル・z・リューイン『季節の終り』をそれぞれ、読み始めたその日のうちに読了。どちらもシリーズもので、読むのは久しぶり。杉田比呂美イラストカバーの後者、サムスン探偵シリーズは読者も多く、今でも新刊で入手可能(と思って調べたら、数点を残し品切れが多い)。しかし前者、ゴーストライターのホーギーを主人公とするシリーズを読んでいるという人に出会わない。8冊、講談社文庫から出ていた同シリーズもすべて品切れ。いやあ、面白いんだけどなあ。これも(ぜんぜん違うよ)という声を無視して言えば、村上春樹がミステリーを書けば、あるいはこうなるのかという作風。飼い犬が相棒、洒落た会話とファッション、ユーモアがちりばめられている。主人公は知的かつ人にやさしい。しかし取り扱うテーマは人心に潜む救いがたい闇と影である。だまされたと思って、古本屋で見つけたら(まず100円)お買いなさい。