『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』は6月刊行

大相撲が始まり、夕暮れからの飲酒でボロボロ。

6月ちくま文庫新刊の岡崎武志編『愛についてのデッサン 野呂邦暢作品集』(税込み990円)の解説ゲラとジャケット・帯の決定デザインが届く。いい感じに仕上がっている。うれしい。解説ゲラは翌日返し。さっき手を入れて返す。これで手を離れた。あとは刊行を待つだけ。一冊の本が世に生まれるまでに、いかに様々な人の手と思いを経ているかを、毎回、確認する。いや、これはすごいことですよ。編者印税は少なく、見入りとしては大したことはないが、ぼくのキャリアの中で、非常に大きな一冊となる。できあがったら乾杯しよう。PR誌「ちくま」には、山本善行が文章を書いてくれる。

日本映画専門チャンネルで、木下恵介アワー「兄弟」(山田太一脚本)が再放送開始、一回目の初めだけ見る。1969年10月から70年4月に放送。オープニング、「兄弟」の弟役あおい輝彦が、雨の日の駅頭で、傘を持たず思案している。駅の表示「ぜんぎょう」とある。すぐに「善行」(小田急江ノ島線)だと分る。山本善行に教えてあげたいと思っていた駅名だ。そうか「ぜんこう」ではなく「ぜんぎょう」か。雨の中、濡れるにまかせて飛び出したあおいは、駅前角の赤い幌の店の軒下に避難する。そこへ傘をさしかけたのが沢田雅美。恋が発展していく。「赤い幌の店」は当時「相高ストア」というスーパーで、現在は「相鉄ローゼン」というスーパーだとネット情報で知る。そういうことくわしく調べている人があるんですね。「善行」駅はこの時地上駅だが、1970年に橋上駅舎と変わる。だから、これは貴重な映像なのだ。50年後の今も、周辺の雰囲気は残されている。一度、行ってみるか。